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公認会計士松澤大之
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は“個人の意識”
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慶應義塾大学「デジタル知財プロジェクト」が活動成果を報告

 産学官連携のもと、デジタル時代の知的財産・著作権に関する研究・活動を行う、慶應義塾大学「デジタル知財プロジェクト(DIPP)」が、三田キャンパス北館ホールにて、その活動成果を発表する最終報告会を行った。


慶應義塾大学大学院 中村伊知哉教授
慶應義塾大学大学院 中村伊知哉教授
 2007年6月の発足以来、「メディア融合」「キッズ」「ポップカルチャー」という3つのキーワードを軸に、デジタルコンテンツおよびその著作権に関わる様々なプロジェクトを企画。リーダーである慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科の中村伊知哉教授は「デジタルコンテンツの新しい可能性を追求するとともに、法体系や知的財産権のあり方を世に問う活動を行ってきた」とその成果を紹介し、会の口火を切った。


慶應義塾大学 金正勲准教授
慶應義塾大学 金正勲准教授
 活動報告では、まず慶應義塾大学の金正勲准教授から政策提言への取り組みについて発表された。著作権制度や通信・放送法制に関するワーキンググループの活動を通じ、プロジェクトメンバーがさまざまな政府委員会に参加し、直截的に政策プロセスの議論に加わった旨を報告。金准教授は「既存のアカデミックな面々は問題発生後に、その分析を行うことに重点を置いてきたが、我々は政策問題についてリアルタイムにそのプロセスに関わり、場合によっては省庁より先手を打ち、政策のあり方について提言していきたい」と述べた。

 リアルプロジェクト活動においては、慶應義塾大学の石戸奈々子氏が「デジタルキッズ」の取り組みについて報告。Podcast上で子供達による地域情報の発信を行い、放送におけるモラルや著作権の重要性を体感できる機会を設けるなど、様々な活動を発表した。また教育現場における著作権フリーの動画サイトを提案し、使用目的によって法規制を大幅に緩めるという著作権の新しいあり方の可能性を示した。
著作権をめぐり白熱した議論が繰り広げられた
著作権をめぐり白熱した議論が繰り広げられた
 会の後半では、省庁を交えたパネルディスカッションが行われた。文化庁著作権課の山下和茂氏は「本来、文化発展のあるためにあるべき著作権が、コンテンツ産業の発展の邪魔になるようでは本末転倒。総合的な視点から今後の方向性を考えたい」と述べた。そして、経済産業省メディア・コンテンツ課の村上敬亮氏による「著作権がモチベーションとなるべきクリエイティブな制作現場が、実質的には下請け仕事に甘んじているのでは」という指摘に会場の議論は白熱。村上氏は「日本のソフトパワー(他国を魅了する力)が大切になる時代だからこそ、クリエイターの人々もマーケティング的視点を持つべき」と主張した。

 “著作権保護”と“デジタルコンテンツ産業の活性”がいかに共存し、相互作用を促していくか、多角的な意見が出された会であった。「デジタル知財プロジェクト」は今回の報告会でひとまず区切りをつけ、今後は企画ごとの活動を展開する予定。個々の取り組みがどのように発展していくのか、これからも注目していきたい。

※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



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