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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
(動画あり)

「新日本有限責任監査法人「理念経営の実践とCSR 2009」セミナーを開催

 2月20日、日比谷公会堂にて「理念経営の実践とCSR 2009」セミナーが開催された。


日比谷公会堂には1,000人以上の参加者がつめかけた
日比谷公会堂には1,000人以上の参加者がつめかけた
 新日本有限責任監査法人が主催する本セミナーは、年1回その時々における最先端のトピックを取り上げており、参加者は毎回1,000名を超える。昨年から金融危機や社会不安というキーワードが頻繁に飛び交う時代的背景を受け、今年は改めて経営理念を見つめ直すことで経営の原点に立ち返り、企業の活力を再起させようという趣旨のもと、産官学の講演者による熱弁が繰り広げられた。


経済産業省産業組織課長 新原浩朗氏
経済産業省産業組織課長 新原浩朗氏
基調講演として「持続的企業の経営のかたち」と題し、経済産業省産業組織課長の新原浩朗氏が講演。同氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院、および早稲田大学法科大学院でも企業研究を行っており、学術的立場から「同業でも企業によって利益率の差があるというのは周知の事実であり、その理由は単なる好況不況に左右されないもっと根本的な違いにある」と問題提起をした上で、持続可能な優良企業の条件について述べた。
それは従来言われていたような「株式市場の反応に敏感な、世慣れた立ち回りの企業」ではなく、「事業の範囲をやみくもに広げず、愚直に、しかし自分たちの頭で考え抜いて業務に取り組む会社」であるとした。
また満たすべき企業文化の条件を「従業員と経営者が同一方向(目標)に向かった判断を下せることである」とし、そのための方法として「会社のため」ではなく「顧客のため」という判断基軸をもつことを提言。この基軸により、従業員も自らの判断で容易に正しい選択ができるはずである、と述べた。

新日本有限責任監査法人CSR推進部長 パートナー 大久保和孝氏
新日本有限責任監査法人CSR推進部長 パートナー
大久保和孝氏
 主催である新日本有限責任監査法人からは、CSR推進部長として執筆や講演活動を精力的に行っている大久保和孝氏が檀上に上った。「理念経営が企業を救う」と題し、特に人材育成の成功が企業存続の鍵を握るとしてその重要性を説いた。
 社会の価値観の急激な変化により、その適応如何で、企業の存続が危ぶまれる場面も出てくる昨今。「生き残るのは最強の種ではない、最も高い知能を有している種でもない。最も敏感に変化する種である」とダーウィンの言葉を引用し、「重要なのは、時代と共に変化する企業リスクを敏感にキャッチできる人材を一人でも多く育成することである」とした。
 また「法令遵守」が責任回避の言い訳となったり、組織を硬直・思考停止状態に陥らせたりしている危険性を示唆。「法律はむしろ時代や世間を知るためのフラグに過ぎない」とし、社会からの要請に応えるための指標として受け入れ、法律の背後にある社会の本当の期待に応えていくことの重要性を説いた。

 “社長室の額縁に飾られているだけではない、企業理念とは社員の共感を呼ぶことが大切である”専門分野の異なる講演者が異口同音に述べていたのが大変印象深く、また企業理念がひとつの大きな機動力となることを確信するセミナーであった。


「内部統制の意義について新日本有限責任監査法人が講演」セミナーレポートはこちら

大久保和孝氏「激変する時代を生き抜くための企業活動とは」インタビュー記事はこちら



※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*:CSR (Corporate Social Responsibility)
企業の社会的責任。企業の経済活動は利益追求のみならず、社会に与える影響に責任を持ち、持続可能な経営形態を社会とともに築いていくという活動。



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