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約半世紀の歴史を持つコンピュータ技術専門の学会である情報処理学会は、2001年よりWEB上に「コンピュータ博物館」(http://museum.ipsj.or.jp/)を展開。そこでは日本におけるコンピュータの進化に大きく貢献した、過去の重要な技術や製品、人物の記録などが数多く紹介されている。だが、その展示はすべてWEB上のバーチャルなもの。実物の「コンピュータ博物館」は未だ作られておらず、WEB上に掲載されている展示品の実物は各地に点在もしくはすでに失われている。 そこで情報処理学会は2009年2月23日より、実機が現存する過去の貴重な日本製コンピュータを「情報処理技術遺産」、それらを小規模ながら収集している組織・施設を「分散コンピュータ博物館」として認定する制度を開始。貴重な実機史料の保存と継承、そして実物の「コンピュータ博物館」設立に向け、大きな一歩を踏み出した。 その狙いは何にあるのか、今回の認定制度とWEB上の「コンピュータ博物館」を運営する、歴史特別委員会委員長の発田弘(はったひろし)氏にお話をうかがった。
「情報処理技術遺産」および「分散コンピュータ博物館」認定制度とは
―今回「情報処理技術遺産」と「分散コンピュータ博物館」の認定制度が発足したことには、一体どのような背景があるのですか?
―今回の認定にあたり重視したポイントは?
―この認定制度を立ち上げる際に、ご苦労されたことなどはありましたか?
<自働算盤> 飛行機及び卓上計算機の研究家・矢頭良一氏(1878~1908)が発明した、日本最初の機械式卓上計算機。1903年の特許取得後に製造が開始され、乗除算における自動桁送りや計算終了時の自動停止機能を備えるなど、当時の海外製計算機より優れた機能を備えていた。現存する自働算盤は1904年頃に製造されたもので、矢頭氏の子孫にあたる梅田利行氏が所有、福岡県北九州市の北九州市立文学館で公開されている。(写真提供:国立科学博物館)
<MARS-1> 1950年代後半に、国鉄鉄道技術研究所(現・鉄道総合技術研究所)の穂坂衛氏(1920~)を中心として開発。1960年から世界初の列車座席予約システムとして、東京~大阪間の特急列車の座席予約業務が開始された。当初は特急4列車・3600座席の15日分を対象とし、東京駅や上野駅など9ヶ所で予約業務が行われたが、1961年には名古屋駅と大阪駅にもサービス範囲が拡大された。現在はJR東日本が所有し、埼玉県さいたま市の鉄道博物館が所蔵して中央処理装置を公開中。(出典:「情報処理技術遺産」パンフレット)
―今回認定された23件の「情報処理技術遺産」の中で、発田さんご自身が特に貴重だと思うものは何でしょうか?
<FACOM128B> 1958年に富士通信機製造(現・富士通)の池田敏雄氏(1923~1974)が開発した、リレー式商用コンピュータ。CPUに5000個、メモリに1万3000個のリレー(写真)を使用しつつ、一時的トラブル発生前の処理をリトライする自己検査機能を備えることで、高い信頼性を確保した。その結果、国産旅客機YS-11やカメラ用レンズの設計など、実用性の高い商用コンピュータとして産業界で広く利用された。現在は富士通沼津工場内の「池田記念室」に展示されており、事前に予約すれば「FACOM128B」が実際に動く様子を見学することが可能だ。(出典:「情報処理技術遺産」パンフレット)
コンピュータ遺産保存の意義
―発田さんはなぜ、こうして過去のコンピュータ遺産の保存に取り組んでこられたのでしょうか?
<NEAC-2203> 磁気ドラム装置の周辺回路すべてにトランジスタ(ゲルマニウムやシリコンなどの半導体を用いた増幅器・スイッチ)を使用した「NEAC-2203」は、1959年にNECが開発。日本では東海大学で1961年製のものが保存・公開されている。写真は米国シリコンバレーの「コンピュータ・ヒストリー・ミュージアム」に展示されている「NEAC-2203」と発田弘氏。