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「平成20年度第3回関東テレコム講演会」が開催

 総務省関東総合通信局と社団法人テレコムサービス協会関東支部は2月20日、東京都港区のメルパルク東京で、「平成20年度第3回関東テレコム講演会」を行った。


挨拶をする岡山淳関東総合通信局局長
挨拶をする岡山淳 関東総合通信局局長
 冒頭の主催者挨拶で総務省関東総合通信局の岡山淳局長は「今回の講演会は、2月2日の『情報セキュリティの日』に合わせたテーマを扱います。19日に放送された『クローズアップ現代』(NHK総合)でもボット*1の怖さを取り上げており、セキュリティに対する関心は依然高いです」と話し、情報セキュリティの重要性が世間一般でも高まっていることを紹介した。

 まず最初の講演では、弁護士の稲垣隆一氏が「電気通信事業者に求められる情報セキュリティと課題」という題で講演を行った。

 稲垣氏は講演で、「情報セキュリティの概念は実感をもって感じることが必要である。人は情報をどのように送り受けてきたのかということをたどらなければわからないところがある」と話し、情報セキュリティが技術の課題から経営の課題、経営の課題から社会の課題に広がってきている旨を訴え、電気通信業者も社会的な要請に応じた課題解決をする必要があるとした。
 さらに、電気通信事業者が情報セキュリティの課題を「どのように捉え、何をしていかなければならないのかを考えなければならない」としたうえで、情報セキュリティ概念の展開についても言及した。

講演する稲垣隆一 弁護士講演する稲垣隆一 弁護士
 同氏はOECDが発表した「新セキュリティガイドライン」(2002年)*2のセキュリティ文化を取り上げ、セキュリティの対象、担い手と責任が情報化とともに拡大し電気通信事業者のセキュリティに対する責任範囲はそのサービスによる便益保障へと広がっていくこと、もはやシステム、データセキュリティにとどまらないことを強調した。絶えず変化を続けるセキュリティの環境に対応させる必要が主張されている。

 最後に情報セキュリティが抱えている問題として、セキュリティの規格、セキュリティレベル情報の開示について挙げ、課題の解決には関わる各業界が連携する必要があると訴えた。

 次にテレコムサービス協会・関東ネットビジネス21研究会の細野清文氏が「ユーザの視点にたったサービス」という題で、研究会の活動報告を行った。
 まず、電気通信事業者のサービス利用者から寄せられる苦情や紛争処理や・相談体制などのあり方について解説。その中で「電気通信事業者はユーザの視点をもつことを心がけ、わかりやすいサービス、安全なサービスにしていく必要がある」とした。
 また、青少年育成に向けて安心・安全なサービスについて説明し、e-ネットキャラバン*3での取り組みや振り込め詐欺、出会い系サイト、迷惑メールに関連した具体的な施策を述べた。
 今後の指針としては、「苦情・相談体制の整備状況や運営状況の明確化」や「利用者への質的・面的拡大」を掲げた。

熱心に講演を聞く参加者
熱心に講演を聞く参加者
 最後に「電気通信事業者間等のトラブル解決について」という題で、総務省電気通信事業紛争処理委員会事務局の参事官である元岡透氏が講演した。同委員会では、電気通信事業者などからの相談専用の電話を事務局に設置し、電気通信事業者間の接続に関する相談や無線局開設時等の混信防止に関する相談に応じている。元岡氏は、委員会による紛争解決までの手順や紛争処理の実績などの活動内容を紹介した。
 さらに、あっせんや仲裁の概要、「あっせんを受けるのに利用料が必要かどうか」や「企業名は公開されるかどうか」といった具体的なQ&Aを紹介し、その他、具体的な紛争処理事例について紹介するなど、電気通信事業者等の理解が深まるよう解説した。

 今回のセミナーでは電気通信事業者にとっての情報セキュリティの概念を弁護士が解説したことや、またユーザの視点に立ったサービスや電気通信事業者間等のトラブル解決など、実践的に具体例を交えて話しており、理解を深められたことが意義深かった。今後も同事業者にとって親身な解説を期待したい。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



注釈

*1:ボット
コンピュータウィルスの一種。コンピュータに感染し、そのコンピュータを、ネットワーク(インターネット)を通じて外部から操ることを目的としたプログラムのこと。遠隔操作を目的に作られ、その動作がロボットに似ていることから、ボットと呼ばれている。

*2:OECD新セキュリティガイドライン(2002年)
OECD(経済協力開発機構)が、1992年に初めて発表した「情報システムのセキュリティのためのガイドライン」」以降、情報システムやネットワークの利用と、情報技術を取り巻く環境の劇的な変化を受けて、2002年7月25日の第1057会合でOECD理事会の勧告として採択されたガイドライン。

*3:e-ネットキャラバン
通信業界4団体や総務省・文部科学省が中心となって取り組んでいる、インターネットの安心・安全利用に関する啓発活動。主に保護者および教職員向けにインターネットの安心・安全利用に向けた啓発を行う「e-ネット安心講座」を実施している。(要望があれば児童・生徒にも実施)



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