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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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セミナーレポート
戦略的Webマーケティングセミナーが開催

 Webサイトの運営は、企業にとって自社ブランドの確立・顧客の獲得・リピーター確保など、IT化が加速する現在において事業戦略の重要な役割を担う。しかし効率的な運営、高い費用対効果の維持には、高度なノウハウが必要とされ、各企業が思考錯誤をしている状態だ。

 2010年9月29日、秋葉原UDXギャラリーにて、技術評論社主催「第4回 戦略的Webマーケティングセミナー」が開催。テーマを「コンバージョン*1率の向上」に絞り、サイトユーザからのレスポンスを最終目的としたWebサイトの構築方法について、成功事例・具体的手法から、製品選定・活用法まで様々なアプローチの講演がなされた。

クリエイティブホープ代表取締役 大前創希氏
クリエイティブホープ代表取締役 大前創希氏
 基調講演では、数々のプロジェクトを成功に導いてきたクリエイティブホープ取締役の大前創希氏が登壇、実際に効果をあげている具体的事例について講演した。
 大前氏は、まずプロジェクト成功の定説となっている“PDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクル”を引き合いに出し、PではなくCから始める“CAサイクル”を繰り返すことがコンバージョン獲得の秘訣である、と語った。「事前準備としてチェック(ログやサイトから問題点の発見)を行い、次のアクション(改善)につなげる。そのとき1週間、1ヶ月など期限を区切って見直しながら、何度もC→A→C→Aを繰り返すことが重要」と強調した。

 成功事例として、WWFジャパン(世界自然保護基金ジャパン)のサイトリニューアルにおいて、コンバージョン率2倍以上(リニューアル前後90日での比較)を達成した例を紹介した。
 チェックの段階では、サイト訪問者を1.顕在層(検索キーワード=WWF、アクセス=トップページから)と、2.潜在層(検索キーワード=ニュースサイト等で取り上げられている話題、アクセス=末端ページから)の2つに分類。リニューアル目的である“会員登録してもらい、WWFの活動を支援していただく”というゴールに向け、末端ページからでも明確にユーザにその意図が伝わるように導線を改善した。「このプロジェクト成功理由の1つはゴールが明確であったことと、そのためのCAサイクルを繰り返せたこと」と大前氏は分析する。
劇団四季取締役 広報宣伝担当 吉田智誉樹氏
劇団四季取締役 広報宣伝担当 吉田智誉樹氏
 大前氏は続けて事例紹介として、劇団四季広報宣伝担当の吉田智誉樹氏をゲストに迎えて「劇団四季ウェブプラン2010」の取り組みを紹介。同団は2000年から公式サイトにて、自宅で座席を選べるオンラインチケット予約を可能にするなど、IT化に精力的に取り組んでいる。さらに今回のプロジェクトでは、演劇興行界では初となるチケットレスシステム(携帯端末のQRコードで入場可能)の導入や、マイページ(ユーザ自身の観劇スケジュールや履歴が閲覧可能)の設置など、Webサイト・システム全体の大幅刷新を行っていく。

 劇団四季の吉田氏はこれらWeb化の目的を、一貫して「演劇業界全体の課題である、チケット購入の利便性の向上にある」と語る。個々の嗜好や地域性、スケジュールに沿った情報提供が可能になり、チケット購入はもちろん、チケット譲渡システムの健全化まで実現できる仕組みだ。吉田氏は「観劇人口も発展途上であり、個々のニーズに対応することでもっと多くのお客様に来場してもらえる仕組みを作りたい」とプロジェクトの方向性を明示した。
会場には、企業のマーケティング・広報担当者、Web責任者など150名以上の参加者がつめかけた
会場には、企業のマーケティング・広報担当者、
Web責任者など150名以上の参加者がつめかけた
 またインターネット広告への効果測定の重要性という点から、ロックオン取締役副社長の福田博一氏が講演。コンバージョンを上げるためには数値や期間を「正確に測る」ことが何より重要であると語った。

 例として、ECサイトでの消費者行動でよくあるパターンである、1.某ブログで紹介されていた商品に興味を抱きアフィリエイト*2をクリック→2.検討期間を経て、数週間後にGoogleなどの検索サイトで商品検索→3.ヒットしたリスティング広告*3から購入ページに至るという一連の動きを検証してみせた。福田氏は「この場合、コンバージョン数が2という結果が出るが、正確には直接効果1+アシスト効果1。このように細かな測定がされていないと、正確な広告効果が把握できないだけでなく、コスト削減の際にアシスト効果の高い広告費を削ってしまうなど間違った判断をしてしまう」と解説した。

 福田氏は多くのECサイトの構築運営に携わってきた経験から「1つの施策で成功という例はない。多くの仮説を立て、早いサイクルで細かな効果検証を続けた企業が最終的には勝ち続けている」と締めくくった。

 その他、セキュリティやCMSベンダーからは製品活用例が紹介されるなど、企業サイトのWeb戦略を考える上で、具体的なヒントが提示されたセミナーであった。


※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。




注釈

*1:コンバージョン
資料請求、会員登録、メルマガ登録など、商用目的のウェブサイト上で獲得できる最終的な成果。

*2:アフィリエイト
ブログ等のWebサイトで商品広告等のリンクを張り、サイト訪問者がそのリンクを経由して商品を購入したりすると、サイト主催者に報酬が支払われるという広告手法。

*3:リスティング広告
GoogleやYahoo!などの検索結果で、検索ワードと連動して表示される広告。


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