2010年6月17日、慶応義塾大学三田キャンパスにて、「インターネットエコノミー推進のための日米パートナーシップの実現に向けて」と題したシンポジウムが開催された。
|
前日の日米政策合意を受け、会場の期待も高まる |
-
「インターネットエコノミー」とは、インターネットによって成り立ち、ネットワークを介して取り交わされる金融・情報・社会等のビジネス取引のことを指す。
このシンポジウムでは、前日の6月16日に日米両政府がインターネットエコノミーに関して局長レベルでの政策対話を始めることを合意したことを受け、そのパートナーシップのあり方と、具体的行動について議論された。
|
米国国務省のフィリップ・バービーア大使 |
-
16日の日米間協議の米国側代表、米国国務省のフィリップ・バービーア大使が壇上に立ち「インターネットを活用した経済活動が拡大する中、クラウド・コンピューティングの技術の普及、商用ネットワークのサイバーセキュリティ、ネットワークの中立性及び通信の自由など、幅広い政策課題について国の垣根を超えた政策協力が必要である」と、今回の日米合意の背景を解説。さらに「これらの議題に対し、日本側からは総務省・外務省・経済産業省等関係省庁が、米国側からは国務省・連邦通信委員会・商務省が協力し対話を進める」と説明を続けた。
またネットワーク効果という言葉を引き合いに「全世界のより多くの人がインターネットを利用することで、その効用や価値はますます向上していく。インターネットが提供できる最大限のメリットを国民の皆様に提供していけるよう取り組みたい」と意欲を語った。
|
慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授 |
-
慶應義塾大学の村井純教授は、インターネット技術の世界標準という観点から解説。「デジタル技術の発展にともない、インターネットとTV放送はゆくゆく融合され、またTVや携帯電話が強力なインターネットデバイスとなり、そのアプリケーションやデータ形式といった仕様は共通のものとなっていく。これがクラウド・コンピューティングのもたらす新しいインターネット環境であり、情報流通の仕組みである」と話した。
「場所」にしばられず、世界中でサービスを享受できるのがクラウド・コンピューティングの最大限のメリット。その環境を実現するには、世界レベルでの光ファイバーの普及が必要であり、安定性とリアルタイム性を備えたインターネット環境が、グローバルな経済発展にとって不可欠であると訴えた。
|
インターネット・エコノミーへの展望など、活発な意見交換がされた |
-
シンポジウム後半には、官民の有識者を交えパネルディスカッションが行われた。在日米国商工会議所(ACCJ)の杉原佳尭氏は「インターネット産業に際し、世界各国での利害が錯綜している状態である。日米は、互いにブロードバンドインフラの開発先進国であり、個人の尊重、経済活動の自由といった考え方など、共通部分が多い。我々が協力することで、世界へ向けてインターネットエコノミーの発展を目指したい」とコメントした。
インターネットは「情報化社会の蒸気機関車」といったように、産業革命にもたとえられる。革新的な情報化社会実現のためには、日米のみならず世界レベルでの協力が必要であると感じさせられたシンポジウムであった。
関連リンク
総務省「インターネットエコノミーに関する日米政策協力」
※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。