セミナーレポート

IT人材育成強化加速事業成果報告会が開催

産官学が一体となって取り組む人材育成について講演

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2011/4/28

 2011年3月1日、「IT人材育成強化加速事業成果報告会」が東京都千代田区の秋葉原コンベンションホールで開かれた。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が主体となり、文部科学省、経済産業省が後援して取り組んでいる産学連携パートナーシップ「IT人材育成強化加速事業」の成果を報告する場となった。

IPA産学連携推進センター・センター長
の大島信幸氏
IPA産学連携推進センター・センター長 の大島信幸氏

事業の取り組み・流れ


 まず「IT人材育成強化加速事業」の取り組みについてIPAのIT人材育成本部 産学連携推進センター・センター長の大島信幸氏が説明した。


 大学などにおけるIT教育への期待は高まっている。しかし、社会で求められる人材は、ITアーキテクト、ストラテジストなど多岐にわたり、大学のカリキュラムと企業の期待のギャップが存在してきたのも事実だ。


 そこで、産業界と大学が共同で教育カリキュラムを開発し、産業界から教材を提供、教員を派遣するなど実践的な教育を行うことが必要となる。これにより、産業界と大学教員、学生の交流が活発化し、大学の教育機能の向上や企業が求めるIT人材の効率的な輩出が期待される。


 その具体的な取り組みとして平成21年度(2009年)から3カ年計画で行っているのが、産学連携プロジェクト「IT人材育成強化加速事業」だ。情報系学部の学生にターゲットを絞って、産業界と大学が連携。先端的・実践的なIT能力を備えた人材を育成する仕組みを構築し、普及に取り組んでいる。


 教材・カリキュラムの収集や開発について、同事業では企業が提供可能な研修カリキュラムや大学の実践的講座、IPA独自プログラムなどを組み合わせて教育コンテンツ「コンテンツプラットフォーム」の形成を行ってきた。形成には企業の研究プログラムが反映され、企業が求めるIT人材の効率的な輩出がより効率的に行われるようになる。


 東洋大学、早稲田大学などでは既にこのコンテンツプラットフォームを利用したカリキュラムを実施。大島氏は「平成23年度、そしてそれ以降の取り組みに生かしていくためにも、カリキュラムをしっかりと検証していく。またコンテンツプラットフォームの一層の拡充も図っていきたい」と意欲を述べた。


実践的インターンシップマッチング


 「IT人材育成強化加速事業」のもう一つの核となっているのはIPAが仲介して企業側窓口と大学側窓口をつなげる「実践的インターンシップマッチング」だ。企業側は運用手順書を用いてインターンシップを実施することで、学生は実践研修型の指導を受けながら、企業のチームの一員として業務の一部を実習できる。


 インターンシップが学生に与える影響について、「教育と職業の接続を意識させる」「実務を通して『就業』の意味を考えてもらう」といったことが挙げられる。実際に情報系の学生にアンケートを取ってみると75%以上の学生が「企業で働くイメージについて理解できた」と答えている。


 その他、IPAでは産業会出身の大学教員向けに研修を実施。より高度で実践的な教員を育てていくことで、IT人材の育成の向上を目指していくとしている。


 大島氏は産業界と大学との交流を図ることを今後の課題に挙げる。「産学連携教育を向上させていくためにも、学生と企業が直接対話する場を提供することが必要不可欠だ」と同氏は話している。

文部科学省高等教育局専門教育課
課長補佐の小谷直和氏   経済産業省商務情報政策局情報処理振興課
課長補佐の田辺雄史氏
文部科学省高等教育局専門教育課 課長補佐の小谷直和氏   経済産業省商務情報政策局情報処理振興課 課長補佐の田辺雄史氏

文科省、経産省の所感


 この事業に対して、文部科学省 高等教育局 専門教育課課長補佐の小谷直和氏は、大学側が実践的な人材育成をどうするか考え、積極的にカリキュラムを見直してきたことを評価した。


 また経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課課長補佐の田辺雄史氏は経団連側からの産業における高度なIT人材が不足しているといった声が事業の発端になったことを説明。この2年間の活動で、800名の人材が輩出されており、来年度輩出する700人によって目標としていた1500人を達成することになる。


 同氏はこれまで日本の企業ではITが企業の単なるコストダウン程度にしか考えられていなかったことを指摘。「活動の中で輩出された人材がITを経営そのものに役に立てるようなシステムを提案し、その提案を受けた経営層も改革していくことで日本の競争力を高めていってほしい」と力を込めた。


 IT人材育成は一朝一夕で培われるものではなく、長期的な視点に基づいて行っていくことが必要不可欠だ。そのため3カ年計画終了後も、継続的に取り組まれていくことを切に願う。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:「IT人材育成強化加速事業 成果報告会」
主催   
:独立行政法人情報処理推進機構(IPA) 
開催日  
:2011年3月1日
開催場所 
:秋葉原コンベンションホール(東京都千代田区)

【関連カテゴリ】

IT政策