セミナーレポート
平成22年度第3回関東テレコム講演会が開催
クラウドや次世代ネットワークなどについて講演
平成22年度最後となる第3回関東テレコム講演会(主催・総務省関東総合通信局、社団法人テレコムサービス協会関東支部)が2011年2月18日、東京都港区のメルパルク東京で開かれた。クラウドコンピューティング、新世代のネットワークなどをテーマに講演が行われた。
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| 会場の様子 |
急拡大するクラウドの市場
クラウドコンピューティング (クラウド)については、テレコムサービス協会関東支部ネットビジネス21研究会主査で、監査法人トーマツのシニアマネージャーでもある池末成明氏が講演した。
クラウド市場は急拡大しており、政府は2020年までには40兆円規模の新市場を創出することを目標として、その戦略を練り始めている。クラウドが求められる背景としては、現状のシステムでは「稼働不要な時間がある」「予測していなかった使用量の増加が発生すると従来型のものでは処理しきれない」などといった問題点が指摘されている。
こうした背景のもと、クラウドの中で注目されているのは、サーバの「仮想化」技術だ。サーバの「仮想化」とは、物理的には存在しないサーバをソフトウェア上で存在させ、利用する技術のこと。これまでのサーバは1つのコンピュータに1つのOSしか動いていなかったのに対して、仮想化されたサーバでは、1つのコンピュータ上で複数の仮想的OSを動かすことによってこれまでより多くの処理を行うことができる。
導入の課題とその対処について
このようにクラウドがそういった技術面で注目される一方、導入にあたっての課題が存在する。クラウド利用者の「どこをクラウドにするとコストダウンするかが不明」といった心理的な課題や、「クラウド利用者が求めるサービスレベルが、クラウド事業者の開示する条件にマッチしない」といった導入時の課題などだ。
池末氏はこれらの課題の「混在」を防ぎ、「利用者側の課題」「事業者側の課題」をはっきりさせるなど、課題解決の当事者や、課題の所在を明確にしていく必要があるとしている。
さらに、これらの課題について話し合う場もこのたび設けられることになった。多様な企業、団体、業種の枠を超え、日本のクラウドサービスの普及の推進を目指し、2010年12月に ジャパン・クラウド・コンソーシアムが設立された。これによって、産学官が連携してクラウド普及のための課題の整理と解決が望まれることとなる。
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| テレコムサービス協会関東支部 池末成明氏 |
情報通信研究機構 富永昌彦氏 |
次世代ネットワークなどについて
一方、次世代ネットワークに関しては情報通信研究機構(NICT)の富永昌彦氏が、同機構の取り組みを紹介した講演「未来に向けた研究開発」で触れた。
現代において、情報流通量は急増するばかりだ。例えば2009年5月の全国のトラフィック総量は毎秒1230ギガビット(GB)にもなる。もはやテラビット(1TB=1000GB)は日常的になっており、2030年にはペタビット(1PB=1000TB)に達するとの予想もあり、超高速、大容量で効果的な光ネットワークインフラの登場が待ち望まれている。
そのためNICTを中心に大学、キャリア、企業などから研究者を迎えた「新世代ネットワーク戦略プロジェクト」が2010年4月に始動。ユーザがその時々のシーンに合わせて、高速で安価なサービスと遅延やデータ損失のない高品質なサービスを選択できるよう、光パケット、光パス統合ネットワークの構築などを視野に入れた研究が進められている。
また、NICTが取り組んでいるもう1つのプロジェクトが脳情報通信の研究開発だ。脳の世界はまだ研究課題が多いとされているが、先端技術に脳機能原理を用いることによって、省エネで不測の事態に柔軟に対応できる高機能なネットワークを実現することができるとされている。NICTはfMRI*などを用いて、脳内情報を解読。脳のメカニズムを解明し、それを応用することで、情報通信を発展させる技術のブレークスルーを目指す構えだ。
クラウドや次世代ネットワークは今後も注目していかなければならないトピックスだけに、これらの動向を得られたのは有意義だ。こうした新しい技術には動向の変化が速く、課題も尽きないだけに、今後も同じテーマでの講演を期待したい。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :「平成22年度第3回関東テレコム講演会」
- 主催
- :総務省関東総合通信局/社団法人テレコムサービス協会関東支部
- 開催日
- :2011年2月18日
- 開催場所
- :メルパルク東京(東京都港区)




注釈
*:fMRI(functional Magnetic Resonance Imaging)
機能的磁器共鳴画像法。MRIを用いて脳活動を画像化することで、血流量など脳の様々な部位を測定することができる。