セミナーレポート
実践的インターンシップ事業の成果を報告
学生と企業双方に大きな効果みられる
経済産業省「IT人材育成強化加速事業*1」の一環として、高度情報通信人材育成支援センター(CeFIL)*2が行った産学連携の「実践的インターンシップ事業」の成果を報告するシンポジウムが2月8日、東京都中央区のベルサール八重洲で開かれた。
情報処理推進機構(IPA)の主催で、実践的インターンシップ事業の成果報告としては初めての開催。実習に関わった大学や企業の関係者が講演し、学生と企業の双方に大きな効果があったことなどが報告された。
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| 会場には関係者約70人が詰めかけた |
学生の9割以上が“満足”
CeFILのインターンシップは2007年度に日本経団連の事業として開始。2009年に経産省の「IT人材育成強化加速事業」で運用法を定めた実践的インターンシップモデルが構築されたことで、翌2010年度は同モデルの実証という形で行われた。
2010年度は筑波大学大学院、九州大学大学院などの学生が参加。大手企業など23社で69人が実習を行った。
4月から企業側が「クラウドを用いたソリューションモデルの開発と評価」「画像ソフトウェア検証用プログラム開発」など計94テーマを公開。学生が応募した後は、5月中旬から6月末までをマッチング・面接の期間に充て、学生と企業が事前に双方の理解に努め、必要なスキルの食い違いがないようにした。
インターンシップは大学の夏休みを利用し、期間は平均で25日、最大で36日。各企業内でチームの一員として業務の一部を担う形で実施され、終了後には各校で成果報告会が行われた。
事後のアンケートでは、97%の学生が「満足」もしくは「まあ満足」と回答。企業側も96%が「指示以上」または「ほぼ指示通り」に学生が業務を遂行したと答えた。CeFIL代表幹事の辰巳敬三氏は「実践的インターンシップモデルを適用することで運用手順が固まったので、今回の実証結果を基に改善を図りたい。テーマ設定や指導ノウハウを蓄積し、横の展開を図っていきたい」と力を込めた。
大学、企業とも好意的反応
同インターンシップに関わった大学、企業からは、共に好意的な意見が出された。
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| 筑波大学大学院の中沢教授 | 富士通九州ネットワークテクノロジーズの倉成氏 |
筑波大学大学院システム情報工学研究科教授の中沢研也氏は、実践的インターンシップモデルに沿ったことで、2009年度までと比べ「受け入れ企業で担当者が決まっていない、学生の想像とテーマ内容が大きく異なるといった課題が改善された」と指摘。
さらに、学生のほとんどが実習を通じて成長したとして「学校では学べないテーマの学習とスキル向上を願う学生にとって、実践的インターンシップの仕組みは非常に魅力的」と、同インターンシップを意義付けた。一方で中沢氏は「テーマだけでなく部門のミッションをできるだけ事前に学生へ伝わるようにするなど、事前説明のさらなる充実が必要」などと、改善すべき課題を投げかけた。
九州大学大学院システム情報科学研究院准教授の金子邦彦氏も、学生に対する効果について「プログラムのバージョン管理やスケジュール管理など、実習で学んだことを授業や論文作成で実践するようになった。負荷を大きく上回る効果があり、実習から帰ってきた後、学生の目がいきいきとしている」と強調。
情報システム企業で実習した同研究院修士課程1年の本田光秀さんは、「自分の長所、短所を把握することができた。複数回にわたる成果物レビューで、視野を広く持つことの重要性を学んだ」と感想を述べた。
富士通九州ネットワークテクノロジーズの倉成真一氏は、学生だけでなくトレーナーとなる社員や学生と同じチームとなる社員にも、育成の在り方を考えることや育成を通じて自身の技術力を再評価することなどを期待したという。
成果について同氏は「学生は当初受け身だったが、徐々に分析や提案などができるようになった。トレーナーも答えを教えるのではなく、学生に考えさせる問いかけができるようになった」と言及。その上で「目的意識を持てば学生の育成とともに、受け入れ側企業の人材育成にもつながる」と企業側にとってのメリットを話した。
「実践的インターンシップ」という形では初の試みとなった2010年度のCeFILインターンシップだったが、報告を聞く限り、学生と企業の双方に大きな効果があったようだ。細かな課題を改善した上で、2年目以降につなげ、徐々に参加大学・企業を拡大していってほしい。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :「産学連携IT人材育成のための 実践的インターンシップ・シンポジウム」
- 主催
- :情報処理推進機構
- 開催日
- :2011年2月8日
- 開催場所
- :ベルサール八重洲(東京都中央区)
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注釈
*1:IT人材育成強化加速事業
産学連携で、先端的かつ実践的なIT能力を備えた人材を継続して育成する仕組みを構築し、普及させることを目的にした経済産業省の施策。情報処理推進機構が事業者となり2009年度から、企業と大学側のマッチング体制整備や、実践的インターンシップのモデル構築、実証などを行っている。
*2:高度情報通信人材育成支援センター(CeFIL)
日本経団連が産学官連携で実施してきたIT人材育成の支援活動を引き継ぐ組織として、2009年7月に有志企業によって設立されたNPO法人。