Bookshelf ~今月の本

『武器としての決断思考』

武器としての決断思考_著:瀧本哲史

著:瀧本哲史
星海社

\820/248ページ
発売日:2011年9月22日

2012/2/13

人生で重要な局面での決断時に必要な思考方法


 本書は、著者の瀧本哲史氏が京都大学で20歳前後の学生に教えている「意思決定の授業」を一冊に凝縮したものだ。将来がどうなるか誰も明確には予測できない『カオス』の時代の中で、変化に対応できないことは最大のリスクである。そして最善と思える「意思決定」の方法を学ぶことが最大のリスクヘッジになると、著者は信じて疑わない。

 著者は意思決定の力を養うために「徹底的に議論すること」を奨励する。そこで議論にルールを加えた「ディベート」の手法を紹介。あるテーマに対し、賛成側・反対側に別れて自分に都合のいい意見や自分の価値観から出てこない意見もすべて視野に入れた上で、最善の解を決める。この手法が、ひいては重要な決断を迫られる局面で効果を発揮することつながる、と説明している。

 このディベートで重要なのは、正しい主張には根拠があるということだ。その根拠は「反論にさらされてもなおかつ耐えうるもの」でなければならない。それを見つけるために必要になるものが、証拠となる資料。この証拠となる資料をそろえるためには「自分の頭と足を使って“価値のある情報”を取りに行くことが大切」と著者は説く。判断を左右し、行動を変える知識や情報をこそが、最も必要なものであるからだ。

 こうして培われていく「決断思考」。しかし、「最後の判定は個人の主観で決断するもの」と著者は説明する。決断するまでの道筋は付けられるが、「価値観」や「哲学」の問題には自分自身で決着をつけるしかないと著者は結論付けている。

 記者も大学時代にディベートを行っていたが、その時にこの本に出会っておけばよかったと思えるほど、理路整然と描かれてある。今までの常識が通用しないこれからの時代に、柔軟に対応していくためにも読んでおきたい一冊だ。

(山下雄太郎)