Bookshelf ~今月の本

『「通貨」を知れば世界が読める

「通貨」を知れば世界が読める_著:浜矩子

著:浜矩子
PHP新書

\840/221ページ
発売日:2011年5月26日

2011/12/8

基軸通貨の“黄昏”と通貨の21世紀的解答


 国内外で著名なエコノミスト・浜矩子氏が、「基軸通貨」の移り変わりを通じて世界経済を読み取ることを試みた1冊。東日本大震災後の状況も踏まえた上で、米ドル時代の終焉により基軸通貨の時代も終わりつつあるとして、「通貨の21世紀的解答」を探る。

 著者は基軸通貨の歴史をオペラ「ニーベルングの指輪」になぞらえる。16世紀以降の英ポンドの時代から、第二次世界大戦を経て米ドルが力を持ったものの、ニクソンショック、ブラックマンデー、リーマンショックを経て「ニーベルングの指輪」のクライマックスにあたる“黄昏”を迎えつつあるという。

 ユーロについてはギリシャをはじめとする圏内各国の財政問題に直面し、基軸通貨の舞台からは「静かに退場しようとしている」と指摘。一方で、震災後も対ドルで高値を維持し続けた日本円について「なぜ日本人は円に自信を持たないのか」と評価する。

 後半では持論の「1ドル=50円時代の到来」について、最善と最悪の双方のシナリオについて分析。TPPについてもわずかながら言及がみられる。著者の持論については賛否があるだろうが、歴史を丁寧にひも解いてくれたことで、世界経済における通貨の役割についてとても良く理解できる。

(薬師寺敏雄)