Bookshelf ~今月の本

『エンデュアランス号漂流』

エンデュアランス号漂流_著:アルフレッド・ランシング、訳:山本光伸

著:アルフレッド・ランシング、訳:山本光伸
新潮社

\2200/372ページ
発売日:1998年10月30日

2012/2/6

1年半の遭難から全員生還した奇跡の物語


 2011年放送された木村拓哉主演のTBSドラマ「南極大陸」は、製作費の割になかなか視聴率が振るわなかったという。このドラマの時代は昭和30(1955~1965)年代だが、これより約半世紀前の南極を舞台にしたのが『エンデュアランス号漂流』だ。

 第1次世界大戦が勃発した1914年、英国の探検家アーネスト・シャクルトン率いる27名の隊員が南極を目指して旅立った。南極点はすでに1911年、ノルウェーのアムンセン隊によって到達がなされていた。英国のスコット隊も南極点を目指したが、アムンセンより約1カ月遅れの到着であった上、帰路で隊員5名全員が死亡してしまった。

 南極点を目指して2度南極へ渡った経験のあるシャクルトン、今度は南極横断を目標に掲げ、「エンデュアランス号」で出発。途中密航していたパーシー・ブラックボロを加え、28名で極地へ向かった。しかし、大陸まであと一歩というところで船が流氷に閉ざされ、進むことも帰ることもできなくなってしまう。

 氷の圧迫でエンデュアランス号は沈没。アザラシやペンギンを食いつなぎながら、予備のボートを人力で運びながら、ひたすら船を出せる海を目指して進むものの、南極という極限の気候で隊員たちは衰弱していく。

 救援を求めるために、シャクルトンは5名の隊員と50メートルとも言われるドレーク海峡の波を木端のような小舟で走破、しかもたどり着いたサウスジョージア島では、3000メートル級の雪山をろくな装備もなしに踏破する。

 南極横断という当初の目的こそ果たせなかったものの、1年半以上の遭難であったにもかかわらず28名の隊員全員が生還した。サバイバル、リーダーシップ、マネジメント…。旅の全貌を記すこの本は、いくつもの示唆を与えてくれるはずだ。

(中西 啓)