東日本大震災とIT BCPとインターネット網のあるべき姿
このエントリーをはてなブックマークに追加
2011/5/23  1/3ページ

1995年の阪神淡路大震災、2007年の中越沖地震や、新型インフルエンザの流行。このような事態の中でも企業の業務を止めないために、BCP (Business Continuity Plan:事業継続計画)やBCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)を策定する企業が増えてきた。

 こうした取り組みが広がってきた矢先に発生した東日本大震災。2011年3月11日は、日本の歴史に深く刻まれる日となったが、この時までにBCPはどれだけ企業に浸透し、そこにITはどのようなかかわり方をもっていたのか。東証1部上場企業に緊急アンケートを実施するとともに、今回の震災で活用されたインターネットがインフラとしてどうあるべきかを探った。

上場企業200社緊急アンケートを実施


 HH News & Reportsでは緊急アンケートを実施。「策定したBCPが今回の震災で機能したか」「ITが役立った点はどこか」「見えた課題は何か」を、東証1部上場企業からランダムに選んだ200社に聞き、29社から回答を得た。

図1、BCP・BCMを策定した企業の半数以上が何らかの課題を見つけた(クリックすると拡大します)
図1、BCP・BCMを策定した企業の半数以上が何らかの課題を見つけた(クリックすると拡大します)

 まず、企業の策定したBCP・BCMがどの程度機能したのか。BCP・BCMを策定していた企業は全体の8割以上の25社。このうち約6割が策定したBCP・BCMについて「かなり機能はしたが、課題点もあった」とした(図1を参照)。


 一方、BCPを策定していない、もしくは策定中だった企業では「無我夢中で対応した。鉄道の運休時にどうするかなど、その場その場で発生する事象に対処していた」(製紙)など、震災発生時の現場でのやり取りが目に浮かぶような声も聞かれた。


 続いて設問2では、ITを利用することでBCP・BCMに役立った点を聞いた。「災害時などの安否確認・連絡手段にメール等を利用」が全体の8割以上、次いで上位に入ったのは「イントラネットなどによる情報共有」「TV会議システムなどシステムを利用した緊急時の意思決定」となった。(図2を参照)

図2、ITは安否確認に役立ったという企業が多数を占めた(クリックすると拡大します)
図2、ITは安否確認に役立ったという企業が多数を占めた(クリックすると拡大します)

 「特に安否確認というのが大きかった」(電機)というコメントもあるなど、メールを含めたネットワークの活用が必要不可欠になっていることがうかがえる。一部企業では事業所ごとに衛星電話や専用回線を用意しているところもあり、連絡手段として活用していたというコメントも寄せられた。


 在宅勤務を行った企業も半数近くあったが、「震災発生が金曜日。土・日を挟んでいたため、事業が継続できないほど困難な状況ではなかったので実施していない」(鉄鋼)という企業も見受けられた。


 設問3では、今回の震災でITを活用したことによって、逆に見つかった課題を聞いたところ、「データセンターが神奈川県にあり、(計画)停電の影響は非常に大きかった」(電気機器)「電力の問題については店舗POPに課題があった」(小売)など、「電力の問題で利用に課題があった」と答える企業が3割以上あった。

図3、策定したBCPで見つかった課題は電力の問題だった(クリックすると拡大します)
図3、策定したBCPで見つかった課題は電力の問題だった(クリックすると拡大します)

 「その他」と答えた企業は「今回の震災を踏まえ、IT関係においても現状の対策の再評価と必要な見直しを実施予定」(電気)「安否確認では携帯メールが到達するのに時間がかかった。被災地付近では携帯が全く使えず、キャリアメール(ショートメールなど)のみが通じた期間があった」(サービス)など、ITを含め、通信形態に課題を見つけていることが判明した。

>>BCPの基本は「結果事象」を前提に作る

【関連カテゴリ】

法律対応・管理統制IT政策