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公認会計士松澤大之
内部統制で変革すべき
は“個人の意識”
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セミナーレポート
「CEATEC JAPAN 2009」が開催

電気自動車がもたらすスマート社会

 10月7日に行われたキーノートスピーチでは、一般ユーザへの販売・普及が現実のものとなりつつある電気自動車について、自動車メーカーや家電メーカー、そして電気自動車のインフラを支える官公庁のキーパーソンが集まり、講演やパネルディスカッションを行った。

 電気自動車が誕生・普及し一般の公道を走り始めることは、単にクルマそのものを変化させ排気ガスやCO2を削減するに留まらず、クルマを取り巻く暮らしや社会をも大きく変える可能性を秘めている。

 最初の講演「電気自動車とカーロボティクスが拓くクルマの未来」に登壇した日産自動車常務執行役員・技術開発本部長の篠原稔氏は、電気自動車がもたらす革新について、1.心臓部の電動化による動きの革新、2.バッテリーを搭載し蓄電可能となることによるエネルギーの革新、3.バッテリー保全のための常時通信接続による情報インフラの革新、の3つを挙げた。
電気自動車がもたらす3つの革新について説明する日産自動車の篠原稔氏
電気自動車がもたらす3つの革新について説明する日産自動車の篠原稔氏
 それぞれの具体的なメリットとして篠原氏は、駆動力と向きを車輪ごとに自在にコントロール可能な四輪独立制御による「ぶつからないクルマ」と「渋滞しない交通流」、クルマのバッテリーと自宅のソーラーパネル及び省エネ家電を連携させエネルギーを自給自足する「スマートハウス」構築、渋滞情報のみならず車庫入れ用カメラを用いてセキュリティ映像の送受信を行う「情報を創り出すインフラ化」の実現が可能、としている。

 パネルディスカッション「EVが切り拓く『オール電化・オールモバイル』社会」では、横浜市地球温暖化対策事業本部長の信時正人氏が、電気自動車普及に向けたインフラ整備や補助金助成、電気自動車を用いたカーシェアリング導入検討などを進める「横浜モビリティ“プロジェクト・ゼロ”」の取り組みを説明。電気自動車の普及を契機とする社会全体の革新が現実のものとしてすでに動き始めていることを強く印象付けた。

AR技術が牽引するコンテンツの未来

 コンファレンス最終日の10月9日には、実空間の位置情報に合わせて仮想の画像や情報を投影する「拡張現実(以下AR)技術」について、産官学の関係者が集い、実例や今後についてパネルディスカッションを行った。

 元来、「空間ごとIT化、つまり『e空間』化が出来たら面白いのではないか」というコンセプトの元に始まったAR技術は、現在、実用的な端末の開発や市場などの開拓が行われている。

 市場としては「実空間に仮想の怪物を出してそれを仮想の武器で退治する」「仮想の卓上で仮想のパック、仮想のマレット(打球づち)を使ったエアホッケーを自分の部屋で行う」といったゲームなどへの利用が先に立ち、エンターテイメントの色彩が強い。

 しかしAR技術の目的は「仮想現実(以下VR)技術のように『サイバースペースへの移住』が目的ではなく、実空間に様々な情報を投影することで、実生活を豊かにすること」(慶応義塾大学メディアデザイン学科教授 稲見昌彦氏)とも提唱されている。そのため「社会貢献のような分野への応用も考えるべき」という意見も多く、安全・医療・教育・地域復興などへの応用研究も行われている。
AR技術についてコンテンツ分野だけではなく社会貢献への応用事例も発表された
AR技術についてコンテンツ分野だけではなく社会貢献への応用事例も発表された
 経済産業省では今年からAR技術に関する民間公募を行い、試験的に「東京・渋谷」と「大阪・梅田」、「愛媛・松山」の「e空間」化を進めている。

 近年、インターネットで目標を定めて必要なものだけ買って帰るというスタイルが定着し、人が「街」にとどまる時間が短くなったという。そのため「街に留まってもらうことで成り立っていた」渋谷は、現状に危機感を覚え、街の中で情報を発信することで「街の内でリアルタイムの情報に触れ、楽しんでもらえるようにしたい」(経済産業省メディアコンテンツ技術課長 加藤幹也氏)と意気込む。

 ところが、AR技術促進は実空間を電子化する技術のために位置情報、移動情報、購入履歴などあらゆる個人情報が電子化されやすく、プライベートが暴かれやすくなる可能性も高い。そのため加藤氏は「個人情報保護法とどう折り合いをつけるかが課題」と語った。

PCが実現する次の世界

 また同日には各PCメーカーが顔を揃え、「パーソナルコンピューティングが変わる!」と題したパネルディスカッションも行われた。

 2009年10月22日には次期Windows OSである「Windows 7」が出荷されることもあり、会場には多くの聴講者が詰めかけ、各PCメーカーからはWindows 7搭載のノートPCのコンセプトやこれからのビジョンが語られた。

 今後のPCのビジョンとして各社共通しているのは、「ワイヤレス化が進んでPCを外に持ち出すようになり、いつでもどこでも繋げられるようになる」ということだ。また、それと共にPC同士だけではなく、生活デバイスであるTVや携帯電話、家電などの様々な機器がインターネットによって繋がり、よりシームレスな使用が実現していくということも示された。
各PCメーカーからパーソナルコンピューティングの今後について展望が語られた
各PCメーカーからパーソナルコンピューティングの今後について展望が語られた
 現在、データセンターや企業ユースでクラウド化が進んでいるが、今後はPCもクラウドサービスを利用し、例えば新しいPCを買った際に古いPCのデータはインターネット(クラウド)上に一度退避し新しいPCへデータを移行する、さらには使用用途やシーンに合わせデータを取り込んだ上でPCを持ち出す、といったことも考えられる。
 また、様々な機器にワイヤレス技術が採用されれば、機器の側からライフスタイルに合わせて自律的に動き、例えば家の電気が消灯されていないことを知らせるほか、ヘルスチェックした内容をすぐネットワーク上に登録することで体調管理を一元化する、といったことも実現できるという。

 だが、そこで問題となってくるのがセキュリティ面だ。このような使い方が実現すれば、個人情報をPC内に持つことやインターネット上にアップすることが今以上に増えると考えられる。また、いつでもどこでもデータが取り出せる状況になるため、利便性はアップするが、データやPCの紛失や盗難といったリスクは増えるため、しっかりとした対策を講じなければならない。

 PCメーカー各社やインテルは、「そういったセキュリティ面が確立されなければ、PCのシームレスな使用環境は実現しない」と述べ、重要課題として今後も取り組んでいく姿勢を示した。

 かつては遠い未来のものとして考えられていた最先端のエレクトロニクスやネットワーク技術は、変化の激しい社会環境の中で実用化が求められ、今まさに現実のものとなりつつある。そのことを強く実感させるコンファレンスとなった。


「CEATEC JAPAN 2009」セミナーレポート(1)



※この講演とセキュリティプラットフォームは一切関係ありません。



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