セミナーレポート

東京五輪を意識した祭典 SPORTEC

スポーツ、健康ビジネスに関するシンポジウムを取材

2015/1/29

 2014年12月4日~6日、SPORTEC2014が開催された。スポーツ、健康ビジネスに関するグッズやマシン、サプリメントなどの産業350社が集結した。日本の健康産業は、成長産業の1つ。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催についても基調講演で触れられるなど、機運の高まりを見せていた。

スポーツや健康に関する様々な器具が紹介されていた
SPORTEC2014の様子
スポーツや健康に関する様々な器具が紹介されていた SPORTEC2014の様子

実を結んだ招致活動


 ミズノ会長の水野正人氏は講演で、2020年に開催される東京オリンピックの招致活動について触れた。水野氏は「2020年には日本人の平均年齢がおよそ50歳となり高齢化していく。高齢化が進むということは、我々国民が健康で生き生きとする社会にしていく必要がある」と冒頭で提言。オリンピックは「大会を通じて、人類の反映と、世界平和がテーマ」であるとした。


 水野氏は東京オリンピックの開催が決定した2013年を振り返った。2013年9月7日(日本時間9月8日)、アルゼンチン・ブエノスアイレスで125回国際オリンピック委員会(IOC)総会が開催され、水野氏は招致委員会の中心として参加している。ここで東京はイスタンブールやマドリードと開催地を競った。


 IOC総会では東京は高円宮憲仁親王妃久子殿下が日本のトップバッターでプレゼンテーションを行った。またパラリンピック女子走り幅跳び代表候補の佐藤真海氏も続き、東京の魅力やすばらしさについて言及。さらに内閣総理大臣の安倍信三氏が福島原発の汚染水問題に触れ、「政府がコントロールをするので問題ない」と力説する流れとなった。


 水野氏は安倍氏のプレゼンについて「ここがIOCの持つ最大懸念だった」と説明。「IOC側も総理からの発言ならば、間違いないと安心したはず」とした。その後、立候補3都市の中から開催地を選ぶ投票が開始。ここで得票数が、東京が42、イスタンブールとマドリードがそれぞれ26となった。その後、マドリードとの決戦投票を制したイスタンブールと東京で再度決戦投票が行われ、60の票を獲得した東京が、36のイスタンブールを制して、念願の東京オリンピック開催決定となった。水野氏はそれまでの招致活動が実を結んだことに充実感を漂わせていた。

ミズノ会長 水野正人氏   早稲田大学スポーツ科学学術院教授
間野義之氏
ミズノ会長 水野正人氏   早稲田大学スポーツ科学学術院教授
間野義之氏

レガシーの影響を考える


 一方、早稲田大学スポーツ科学学術院教授の間野義之氏はオリンピックにおけるレガシー(先人の遺産)について解説した。「レガシー」は、1956年にメルボルン大会の際、初めて言葉として利用されている。またオリンピック憲章の第1章には、「オリンピックでよい遺産(レガシー)を開催都市に残すこと」が掲げられているという。


 間野氏は過去のオリンピックにおけるレガシーを紹介した。例えば、ロンドンオリンピックで使われたオリンピックスタジアムは当初、1階25000席、2階55000席の合計80000席を所有するスタジアムとして建設された。建設費は約6億ドルで、改修費は約2億ドルだった。


 こうしたレガシーは開催後の再利用が問われる。前述のスタジアムはオリンピック開催後も、プロサッカーチームのウェストハム・ユナイテッドが2016年から99年間のテナント契約を行っており、改修費2400万ドルを協力することが決定。現在、54000人定員のホームスタジアムとして改修が行われており、2016年に再オープン予定だ。さらに2015年ラグビーワールドカップなどに使われることが決まっている。


 有形のレガシーは、開催都市の都市市民生活の質の向上ももたらすという。間野氏は、アトランタでは町の中心部の美化や通信環境の向上、さらにオリンピック100年記念公園ができたことを紹介。また、シドニーでは文化を世界に発信でき、障害者を広く受け入れる環境ができたことなどを挙げていた。


 間野氏はこうした有形のレガシーに加えて、日本だからこそ発信できる「無形のレガシー」があると提言。現状、実際に日本は男性76歳、女性83歳で世界1位を誇っており、健康に老いていく人が多い。そこに関わる食文化やラジオ体操など健康に長生きする秘訣を発信していくことができるという。


 また学校体育や部活動など、日本の教育システムやスポーツを楽しむという素養を世界に発信できるチャンスでもある。間野氏はこうした日本全土の地域・文化や、ねんりんぴっくに代表される高齢者活動など、元気で豊かな国をPRしていくべきだとした。


 2020年に控える東京オリンピックは、元気な日本を発信していくためのまたとない機会だ。スポーツや健康産業に関する機器、用品、サービスの展示会であるSPORTEC2014だからこそ、こうした講演の価値は高まるし、説得力も大きいと感じることができた。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:SPORTEC2014
主催   
:SPORTEC2014実行委員会
開催日  
:2014年12月4日~6日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

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