セミナーレポート

技術的基礎固めから様々な応用の段階へ

第16回自動認識総合展を取材

2014/10/27

 第16回自動認識総合展(以下、総合展)は、NFCゾーン、画像認識ゾーン、センサーネットワークゾーン、の3つの展示ゾーンを設けRFIDやNFCを応用した展示を行っていた。93社3団体という開催規模で2014年9月10日から3日間東京ビッグサイトで開催された。

展示されていた電波吸収パネル。 
自動認識の裾野は確実に広がり始めている
展示されていた電波吸収パネル。自動認識の裾野は確実に広がり始めている

3 つのゾーン

 

 第16回自動認識総合展は3つの展示ゾーンに分かれていた。NFCゾーンではNFC(Near Field Communication)を応用したものを紹介。画像認識ゾーンでは、画像認識技術による個体パターン認識、画像情報の認識、バーコード、文字認識、指紋、顔認証などを応用したものを展示。そしてセンサーネットワークゾーンではRFID(Radio Frequency Identification)やNFCを応用した展示が行われていた。


技術的基礎固めから様々な応用段階へ


 HH Hews & reportsは自動認識に注目して過去何度か総合展を取材してきた。今年の展示を見ると自動認識の分野はチップなどハード開発の段階から、小型化を経て、様々な分野への応用段階に入ったと改めて感じられた。


 まず関連する主要な用語をざっくりとおさらいしてみよう。

  • NFC:非接触IC規格である「Mifare」「FeliCa」やISO15693のRFタグなどと互換性がある近距離無線通信の国際規格。
  • 自動認識:媒体(データキャリア)にデータを書き込み、その媒体を「人」「動物」「物」「情報」などに取り付けて、対象となる物または情報を特定すること。
  • バイオメトリクス:生体が備えている不変的な特徴を機械で読んで、その個人を識別し、特定すること。
  • マシンビジョン:主に無生物が備えている特徴を機械で読んで識別し、特定すること。


 どれも最終的には機械で読んで識別するのもので、人が対象物を特定するものではない。例えば、最初から人が読むことを考慮していないバーコードは、読み取り速度が速く、データキャリアが紙などで安価、信頼性が高いというメリットがあり、2次元バーコードも出現し、あらゆる産業分野に広がっている。


様々な分野への応用


 観光地の土産物のようなキーホルダーやファッション小物のようなカラフルなバンド。NFC内蔵携帯画面クリーナー、NFC内蔵キーホルダー、NFC内蔵シール、ICカード、ICリストバンドが出始めている。RFIDなどハードの小型化が進み、ユーザーに抵抗を与えないデザインを用いて認証・認識することが可能になる段階に達したということが見えてきた。

小さなものにも実装できるICタグ   好みの色に加工できるファッショナブルなICタグ
小さなものにも実装できるICタグ   好みの色に加工できるファッショナブルなICタグ

 さらに「耐熱金属対応UHF*1パッシブタグ*2」は最大250℃という特殊な条件下においても使用できるタグ。医療器具の所在管理の目的でピンセットなどに直接レーザーを用いてマーキングし、それを読み取る技術。ガスボンベや酸素ボンベに付け個別管理をするためのタグ。紙ラベルにICを組み込んだ「ICラベルタグ」。これらは、技術に適したニーズを発掘する段階から、ニーズに合わせて作ることができる段階になってきことを示している。


 さらに、電磁波を用いるRFIDやNFCの応用製品を利用する時に電波混信による誤動作が起こる。これを防ぐための電波シールドシートや電波吸収パネルも展示されていた。関連分野の裾野を広げる周辺技術も出始めている。


 会場において第16回自動認識システム大賞の各賞の事例発表が行われていた。写真は「UHF帯RFIDを活用した不適切駐輪管理システム」。


 キャンパス内に常時約2万台の自転車が存在するある大学で、自転車にUHF帯のRFIDタグを取り付けて管理を実施した事例。放置自転車の選別作業に要する人件費の削減、放置自転車の60%をリサイクル販売。防犯効果があったという。


本格的な応用へ


 生体認証の分野においても「指」先の静脈認識から「手のひら」の静脈認証へと正確は高まり省スペースの方向に進んでいる。


 RFIDやNFC等の自動認識技術で様々なモノを認識し、インターネットに接続して管理するIoT(Internet of Things)。センサー機器間をネットワークでつなぐM2M(Machine to Machine)などのセンサーネットワーク。これらの応用によるシステムは一つの会社のインフラを変えていくだけでなく社会インフラ全体を変えていくだけの可能性を持っている。


 今回の総合展の中に、ある大学と会社が共同開発した「RFIDタグを利用した車いす操縦システム」があった。小さなRFIDタグを口の中に入れて舌で車いすを制御するというものだ。舌は高レベルの障害を持っている場合でも随意動作が比較的可能な部位であり、電池を用いず無線にすることで唾液がたれることもないという。これは一つの例ではあるが、障害を持つ人の活動範囲を広げるシステムが、これをきっかけとして数多く開発されていくだろうことは想像に難くない。


 自動認識技術は、「こんなことができる」という段階の技術から、一つのシステムの一部となって広く日常的に使われ、だれもその存在に気づかないという段階に達するまで、そう遠くないと思わせる総合展であった。

(石丸隆雄)

注釈

*1:UHF
Ultra High Frequency 極超短波(300MHz~3GHz)

*2:パッシブタグ
電源無しのICタグでレクテナ+アンテナ+ICチップで構成される。

【セミナーデータ】

イベント名
:第16回自動認識総合展
主催   
:一般社団法人日本自動認識システム協会(JAISA)
開催日  
:2014年9月10日~12日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

【関連カテゴリ】

トレンド