セミナーレポート
創薬を効率的に進めるプラットフォーム
データクラウドや設備の整備を紹介
文部科学省は、創薬などを効率的に進めるためのプラットフォームに関するシンポジウムを2014年8月27日に開催した。この「創薬等支援技術基盤プラットフォーム」は、2012年度から始まった事業。創薬プロセス等に必要な技術基盤の整備や、積極的な外部解放などを行い、創薬、医療技術、シーズを着実、迅速に実現することを目的としたものだ。
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| プラットフォームの仕組みについて様々な説明が行われたシンポジウムの様子 |
プラットフォームの展開
京都産業大学教授の吉田賢右氏は、近年ではゲノム(遺伝子)解析技術の進歩により、タンパク質や様々な分子間の相互作用の解明が行われるようになってきたと説明。同プラットフォームがタンパク質の構造の解明を進め、医学や薬学などの分野に還元するためのものだとした。すでに、タンパク3000プロジェクト(日本発の産官学タンパク質解明プロジェクト)など大きなプロジェクトが進行している。この分野では世界でも最先端を走る研究だという。
一方、様々な研究が行われるなかで、研究しているものが創薬の可能性をもっていることに気が付かない研究者もいる。プラットフォームにはそういう研究者を募り、創薬の分野等に、研究を近づけようとする目的もある。
この事業では、解析や情報・制御の拠点が設けられている。解析の拠点では、構造解析に必要なタンパク質の生産や構造の解析・計算を行う。情報拠点はデータベースなどの管理・運用。また、制御拠点ではスクリーニング(多くの化合物の中から新薬に有効な化合物を選ぶ作業)などを行う。
データクラウドの構築
お茶の水女子大学教授の由良敬氏は、この情報拠点について解説した。情報拠点はタンパク3000プロジェクトや創薬等支援技術基盤プラットフォームなどに関するデータベースやソフトウェアの管理・運用の実行を行う。大規模な生命科学データを取りまとめ、そこから明らかになる新しい情報の発信を目指している。
遺伝子の世界では現在、個人のデータが世界のあちこちで集まってきている。しかしこれは非常に大量のデータだ。そのため、単に膨大なデータがあるだけで終わるのではなく、そこからどう仮説を立てて、次の一歩が踏み出せるかが重要となる。
こうした取り組みを支援するべくつくられたのが「構造生命科学データクラウド(SLS-DC)」だ。これは東大や東北大・お茶の水女子大など、各機関の遺伝子研究所にあるデータベース群や、他機関で公開されているデータベースから検索できるようにした「データクラウド」のこと。一般の人(ユーザ)はこのクラウドにアクセスすることで、必要なデータを収集することできる。今後は、これまで存在を知らなかったデータはもちろん、データに解釈が加わった情報の抽出を目指すとのことだ。
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| お茶の水女子大学教授 由良敬氏 | 東京大学客員教授 長野哲雄氏 |
創薬研究のため設備を整備
制御拠点については東京大学客員教授の長野哲雄氏が説明した。全国の研究者に対して、創薬などの相談に乗るだけではなく、スクリーニングをはじめ、実際の創薬研究の支援を行う。問題点があればそれに関する研究も実施している。
人の体への移行性が優れている「低分子医薬品」の開発――この開発には、生体機能を制御する化合物を作り出さなければならない。そのための基盤となる大型のライブラリー(化合物群)、大規模なスクリーニングをする基盤の整備を行えば、それだけ、医薬品開発に直結する「ヒット化合物」を見つけやすくなる。制御拠点では、その基盤整備を行うなどの支援を行っている。
具体的には東大創薬オープンイノベーションセンターに設置した設備を中心に、京大・阪大など全国6機関のスクリーニング設備を整備し、研究支援体制も東京医科歯科大学や東京薬科大学など9大学に設置。ヒット化合物を生み出す体制を整えるだけではなく、製薬企業などで長年、創薬研究を行ってきた研究者に支援してもらう。またヒット化合物を見つけ出すためのデータ処理を指導する体制も整えていくという。
創薬の分野で、効率的に成果を出すためには、今回紹介したデータクラウドの構築や、研究体制・設備の整備は欠かせない。今後の展開に大きな期待が持てるような内容だった。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :第2回創薬等支援技術基盤プラットフォーム公開シンポジウム
- 主催
- :文部科学省創薬等支援技術基盤プラットフォーム推進委員会
- 開催日
- :2014年8月27日
- 開催場所
- :よみうり大手町ホール(東京都千代田区)
【関連カテゴリ】
その他



