セミナーレポート

特長を生かした電子書籍の展開

第22回東京国際ブックフェアを取材

2014/8/4

 2014年7月1日から4日間、東京ビッグサイトで第22回東京国際ブックフェアが開催された。同展示会では、同時に電子出版EXPOなども開催。国内では最大級のものとなる。開会のテープカットには眞子内親王殿下も出席され、大きな盛り上がりを見せた。

開会のテープカットには
眞子内親王殿下も出席された
開会のテープカットには眞子内親王殿下も出席された

Twitter上で直接本が読める機能


 KADOKAWAグループのアスキー総合研究所は、Twitter日本法人と連携し、電子書籍をTwitterのタイムライン上で試し読みすることができるePubビューワーを開発した。この技術はTwitterの協力のもと、コミック・書籍などのePubデータをツィートに埋め込めるようにしたもの。これにより、コミック・書籍を購買するために有効な試し読みがタイムライン上で行えるため、ユーザはタイムラインからほかのサイトへ移動することなく、手軽に作品を確認することができる。


 KADOKAWA会長の角川歴彦氏は講演で「読者と感動を共有できるソーシャルリーディングが促進されるはず」と紹介。さらに「この本が感動したという会話がTwitter上で読者同士によって交わされれば、出版社としてこんなに嬉しいことはない」と述べた。


電子化で利便性が高まる「地球の歩き方」


 DNP(大日本印刷)のブースではリアルの書店、書籍のネットストア、電子書籍ストアを1つのIDで管理する総合書店サービス「honto」をアピールしていた。ブースで行われた講演では、電子書籍化されhontoで手に入れることができるようになった「地球の歩き方」について、同誌の発行元であるダイヤモンド・ビッグ社の藤岡比佐志氏や、「地球の歩き方」編集長の奥健氏などが登壇する講演が行われた。奥氏によると「自分の必要なページだけを破って『地球の歩き方』を使う人がこれまで多かった」とのこと。しかし電子化することで、情報量や利便性、持ち運びの面で有用性を高めることができるとした。


 一方、藤岡氏は「インターネットが普及したとき、『出版はもうだめなのでは…』という意見があったが、そうはならなかった。情報をどう並べていくかの視点、ある程度キュレート(情報を整理することで新しい価値をつける)された情報というものが重要視されているためだ」と持論を展開。玉石混交の情報があふれているインターネットだからこそ、キュレートされた情報の価値がこれからも高くなるはずだと意見を述べている。

KADOKAWA会長 角川歴彦氏   LINEコンテンツ事業部 村田朋良氏
KADOKAWA会長 角川歴彦氏   LINEコンテンツ事業部 村田朋良氏

伸びる「Lineマンガ」


 展示会では好調の「LINEマンガ」の展開についても触れられていた。同サービスはユーザがLINEでつながる友人と、タイムライン上で好きなマンガ(電子書籍版)を共有できるというもの。LINEコンテンツ事業部の村田朋良氏は、2014年4月のサービス開始以来、急激な成長を遂げていると報告。LINEマンガのダウンロード数自体が2014年6月末で690万ダウンロード、配信冊数が約76,000冊、LINEマンガの公式アカウント登録者が1127万人となっているとした。


 LINEマンガでマンガを購入すると、LINEで使える限定のスタンプが手に入るという。またこのサービスでしか手に入らないスタンプを、毎月2個から3個、ユーザに届けているとのこと。こうした独自の取り組みが、新しいユーザの発掘に貢献している。この取り組みの他に、「1巻無料・複数巻無料キャンペーン」や「無料立ち読み機能」が、ユーザがLINEマンガでマンガを購入したきっかけになっているという。


 しかもこれらのキャンペーンで、ユーザがリアルの書店に行き、紙の本で続編を購読するというパターンが増えているという。村田氏は「まずはユーザにキャンペーンなどを通じて『こういったマンガがある』ということを知ってもらうことが大切。あとは紙でもデジタルでもマンガを購入してもらい、マンガを多くの人に読んでもらうことが理想」だとした。


 これからの展開について、村田氏は「キャンペーンの告知やオリジナルのスタンプなどを切り口に、LINEマンガの公式アカウントをもつユーザにマンガを知ってもらいたい」と述べた。さらに友達同士のコミュニケーションを通じ、口コミのような形で他のLINEやTwitterのユーザにマンガを知ってもらうようにしたいとしている。


 東京国際ブックフェアでは、電子書籍の特長を生かしたサービスが年々増えている。出版不況と呼ばれる昨今、電子書籍は大きな武器として期待されているため、今後の展開に目が離せない。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:第22回東京国際ブックフェア
主催   
:東京国際ブックフェア実行委員会、リードエグジビションジャパン
開催日  
:2014年7月1日~4日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

【関連カテゴリ】

トレンドその他