セミナーレポート
4K対応が本格化するデジタルサイネージ
デジタルサイネージジャパン2014を取材
デジタルサイネージの最新動向を伝える展示会「デジタルサイネージジャパン(DSJ)2014」が2014年6月11日から3日間、幕張メッセで行われた。会場には4K対応のデジタルサイネージ(4Kサイネージ)が展示されており、高解像度コンテンツの配信の実現や、きめ細かい映像にも対応できる高精細画面を各企業がアピール。4Kサイネージの流れが本格化していることを来場者に印象付けていた。
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| 4K対応のデジタルサイネージが 会場には多く展示されていた |
本格化する4Kサイネージ
4Kサイネージの販売を進めてきたNTTアイティの久保田俊郎氏は「昨年に比べて4Kサイネージが世の中に認知されてきているのを実感している」と講演で話した。すでに放送業界では2013年に立ち上げられた次世代放送推進フォーラム(NexTV-F)が4Kテレビの試験放送を2014年6月から開始。衛星(CS)放送「スカパーJSAT」で4K放送を行い、毎日午後1時から午後7時まで、NHKや民放が制作したスポーツや旅行番組を放送している。
久保田氏によると、ここにきて4K対応の民生用機器が増えてきているという。4K対応のビデオカメラがソニーから、4K対応のノートPCが東芝からそれぞれ販売されている。スマートフォンでもソニーが「Xperia Z2」をリリースし、4Kの動画が撮影できるようになってきている。また4Kサイネージもディスプレイの値段が下がってきており、以前に比べて手に入れやすくなったという。
久保田氏は「2020年の東京オリンピックを目標としてインフラを充実させるため、4K対応ディスプレイや4Kカメラ等の普及・低価格化がこれからも進む。デジタルサイネージもその潮流に乗るはず」と述べている。他にも化粧品・ファッション・観光業界が希望する質感重視のコンテンツや、地図やインフォメーションのような多量情報の需要が増え「超高精細コンテンツ」のニーズが高まるとしている。
すでにNTTは4Kに関する様々な実証実験に着手。商業展開を視野に入れた4Kビデオオンデマンドの実験や4Kサイネージでの配信デモをグループ企業が実行している。実験で4K映像と従来のHD映像を一般の視聴者に見せて確かめたところ、4KとHDの画質の差は大画面で顕著に表れたという。一方で、4Kサイネージではリアルタイムの大容量伝送に耐えうるネットワーク、動画制作コストが必要になるという結果が出ている。
しかし久保田氏は「デジタルサイネージの『蓄積型のメディア』という特色を活かせば、普及のハードルは低い」と説明。HDのアップスケーリングでも4Kの臨場感は十分出るため、4Kサイネージの普及は進むはずとしている。
また久保田氏は、東京オリンピック開催時に合わせた「デジタルサイネージの配信拠点の設立」を想定。そこから各会場に設置されるデジタルサイネージに向けて、会場案内や周辺の観光情報、結果速報などの情報を配信。さらにスマートフォンと連動させるという将来像を伝えている。
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| NTTアイティ 久保田俊郎氏 | ジャーナリスト 木村太郎氏 |
メディアを取り巻く状況の変化
DSJではメディアを取り巻く環境の変化に関する講演も行われた。ジャーナリストの木村太郎氏は放送業界を巡る状況について言及した。人々はインターネットに触れる時間が増えた半面、テレビを視聴しなくなっている。そのため、テレビ業界は収入を減らしており、この状況を改善することに腐心しているという。木村氏はこうした状況を踏まえたうえで「スマートフォンとクラウドが普及したことで、キーボードやマウスを使う機会も少なくなってきている」とインターネット業界の変化の速さを指摘した。
木村氏はジャーナリストとして活躍する一方、20年前に経営不振だった湘南FMの取締役に就任している。経営の改善に乗り出す過程で、1994年にノースカロライナ大学が所有する放送局がインターネットを通じてラジオ放送を行ったという記事に目が釘づけになったという。これは音声の圧縮技術を使ってインターネットでのラジオ放送が可能になったことを報じたものだ。
1995年にストリーミングで再生できるメディアプレーヤー「Real Audio」がリリースされると、木村氏は開発者に連絡して自分たちのラジオ局でその技術を使いたいと懇願。その後も、インターネットでラジオ放送が行えるよう、JASRACやレコード会社と著作権に関する交渉を繰り返し行っていく。結果、インターネット放送である「サイマルラジオ」が日本で開始。今や日本でも100局を超えるラジオ局がサイマルラジオを放送するまでに至っている。
木村氏によるとサイマルラジオが一番利用されたのは「東日本大震災の時」とのこと。また海外から聴くことができるため、沖縄の放送局が米国でも根強い人気を誇っているという。「ラジオそのもので聴く機会は少なくなったものの、スマートフォンでも手軽にラジオ放送が聴ける時代になった。そのためインターネット経由でのリスナーが大変増えている」と木村氏は分析している。
メディアを取り巻く環境が変化するなか、時代の流れは「4K」に動き始めている。デジタルサイネージも4Kへの対応が大きく進んでいる。2020年の東京オリンピック開催までには4Kサイネージは街中で普通に見ることができるのかもしれない。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :デジタルサイネージジャパン(DSJ)2014
- 主催
- :デジタルサイネージジャパン2014実行委員会
- 開催日
- :2014年6月11日~13日
- 開催場所
- :幕張メッセ(千葉県千葉市)
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