セミナーレポート

HEMSから深海探査研究まで、徹底公開

東大駒場リサーチキャンパス公開イベントが開催

2014/7/10

 2014年6月6日から2日間、東京大学駒場リサーチキャンパス(東京大学生産技術研究所)で、公開イベントが行われた。

 ビッグデータをもとにした社会分析や、HEMS(Home Energy Management System、ヘムス、家庭のエネルギー管理システム)の構築、果ては深海探査。リサーチキャンパスで取り組まれている幅広い分野の研究が一般向けに公開された。

海底の地図作製などに活躍するTri-TON
海底の地図作製などに活躍するTri-TON

通信不能な深海をゆく無人ロボット


 研究室の一角にある、巨大水槽。そこに浮かぶのは、海洋探査システム連携研究センターの巻俊宏准教授の研究室で開発した「Tri-TON(トライトン)」だ。最大深度800mの無人海底探査機。搭載したカメラで海底の地形を把握することができる。


 電波が届く宇宙空間と違って、海中では電波による通信が全く行えない。このため、海底を調査する無人探査機のコントロールは限られてくる。有線ケーブルを利用するタイプと、あらかじめ航行プログラムを組み、自律航行するタイプにわけられる。「Tri-TON」は自律航行するタイプだ。


 「Tri-TON」にも音波による通信手段はある。しかし、ケーブルを使ったものに比べて不安定な通信になるため、探査打ち切り命令など「スイッチのオン・オフ」程度のものに限られる。


 無人探索機に限らず、多数の体験コーナーが来場者を楽しませていた。顕微鏡越しに細胞をつまんだり、Twitterのテキスト分析のための巨大モニターでリアルタイムにデータを抽出する様子が表示されたりするなど、興味をひかれるものばかりであった。

大画面で行われるTwitter分析   先端科学技術センターの森川博之氏
大画面で行われるTwitter分析   先端科学技術センターの森川博之氏

ビッグデータとIoT活用は死活問題


 こうした研究活動を「宝の持ち腐れ」にしないことも重要だ。オープニングセレモニーで行われた基調講演の中で、先端科学技術センターの森川博之教授は、Googleが32億ドル(約3200億円)で買収したスマートデバイス企業NESTを例に挙げた。


 NESTはサーモスタット(温度調節)機器に無線LANチップを埋め込んだデバイスを開発・販売している。ユーザの好みに合わせて、家の中の温度を自動的に調節する。また、Wi-Fiに接続できるので、外出先からでもスマートフォンなどで設定を変えることが可能だ。


 森川氏は「この『家のデータ』にGoogleは32億ドル分の価値を見出している」と述べ、「データを集めたもの勝ち」という現在のビジネストレンドを紹介した。


 NESTを始めとするIoT(Internet of Things)やM2M(Machine to Machine)で得られるデータは、様々なシチュエーションで役に立つ。「吊り橋のロープの劣化調査や、風力発電機のメンテナンス時期を知ることができる」(森川氏)といったインフラのメンテナンスなどへの貢献もその一例だ。


 また、特に日本で著しい人口減少問題については、街づくりにおいて「現状の把握」と「未来予測」にデータの活用が必須だ。「インフラメンテナンスを始め、人口動態、住民の行動、税収などを収集して、将来の政策につなげられる」と森川氏は述べた。


 大学などの研究機関には、私たちの気付かない宝の山とも言える知識・技術が豊富にある。こうした知財を、民間も存分に活用すべきだろう。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:東大駒場リサーチキャンパス公開
主催   
:東京大学生産技術研究所 先端科学技術研究センター
開催日  
:2014年6月6日~7日
開催場所 
:東京大学駒場リサーチキャンパス(東京都目黒区)

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