セミナーレポート
広がるM2Mの普及と期待
ワイヤレスジャパン2014を取材
「ワイヤレスジャパン2014」が2014年5月28日~30日に東京ビッグサイトで開催。M2M(Machine to Machine)に関する講演が行われた。「モノとモノ」をネットワークでつなげることでデータを自動的かつリアルタイムに収集するM2Mを通じて企業がサービスの拡大につなげていこうとする動きがみられた。
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| M2Mの話題で盛り上がったワイヤレスジャパンの様子 |
M2Mのトレンド
M2Mの普及を目指すMCPCモバイルM2M委員会の土本順久氏はM2Mのトレンドについて言及。「身につける端末(ウェアラブル)や自動車関連機器の通信化が一層進む」とした。通信環境もLTE-Advancedの開発が進むなど高速化が進んできており、長期的には2020年をめどに正式な4GサービスであるLTE-Advancedの次世代にあたる5Gが登場するとの展望だ。
土本氏によると、M2M関連製品では、ITを駆使して電力需要を効率的に管理しようとする必要性が高まるなか、電力使用量や発電量を測定したり、需要量について発電所と通信を行うスマートメーターの需要が増えると指摘。また自動車関連機器の他にもMFP(Multifunction Printer:複数の機能を搭載した複合機)などの監視・保守に、M2Mを利用するといった動きが出てきているとのことだ。
土本氏はこれらに加え、建機の稼働状況データを遠隔から取得するといったソリューションを紹介。今後の動きに注目すべきだとした。
自動車のハザード情報を発信
自動車の車載器やガスメーターなどの計測器を製造する矢崎エナジーシステムの市川孝幸氏は、同社のM2Mを使ったソリューションを紹介した。同社では自動車のタコグラフ(運行記録計)に代表されるように、「安全、省エネ」をテーマにした製品を開発。トラックやバス、タクシーなどの商業車を中心に半世紀にわたって、様々なニーズにこたえるサービスを手掛けてきた。
同社では現在、車の急発進や「ヒヤリハット*」につながる情報を日常的に記録するセンサーを内蔵した車載機(デジタルタコグラフ)を開発している。企業はこれを持ち帰り、「運行エリアにどのような『ヒヤリハット』があるのか」という情報を収集し解析することで、企業固有のハザード情報を生成できるという。このハザード情報は社内で共有するだけなく、モバイルを用いて車載機に送信することで常に新しい情報が更新される仕組みになっている。また車が危険な場所が近づいた際、ハザード情報を走行中に車載機に転送。ドライバーに音声で警報して予告して、事故を未然に防ぐことができるという仕組みだ
また、居眠り運転に関する速度変化の情報をあらかじめ収集・分析。ドライバーが走行中、それに近い速度の変化を起こすと、車載器が音声でドライバーに警報する。さらに現場で危険な状況が起きている可能性について企業側にリアルタイムで知らせることができるという。
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| 矢崎エナジーシステム 市川孝幸氏 | JR貨物 西村公司氏 |
GPSを使って貨物の位置を把握
JR貨物の西村公司氏は、鉄道貨物・コンテナ輸送を総合的に管理するシステムについて触れた。貨物列車の運行を管理し「各列車にどのコンテナがあるか」を把握。コンテナの積み降ろしに関する情報を収集・分析するといったものだ。
GPSを使い、貨物列車の位置情報を取得。その情報を「列車位置サーバ」を介して、駅事務所に送る。それによって「列車がどこを走るのか」という情報をリアルタイムに把握できるという仕組みになっている。
またおよそ120の貨物駅で稼働している約550台のフォークリフトにもGPSと高速の移動通信システムを導入して通信環境を整備。「フォークリフトがコンテナをどこから積んだか」「どこに降ろしたか」などの情報をいち早く収集することができるようにしている。
さらにコンテナ運送会社が所持するトラックやコンテナ自体にICタグ(=RFID)を内蔵させている。これにより、コンテナの積み下ろしの際に読み取った情報は移動通信システムを経由して事務所でも共有できるため、効率のよい荷物の運搬が可能になった。西村氏はこうしたシステムをアジアの各国でも展開することができるよう、機能を充実させていく構えを示した。
これからの市場拡大が期待されているM2M。モノとモノをネッワークでつなげる様々な技術が今回のワイヤレスジャパンでは多く紹介されていた。企業がそれを活用することでより効率的な経営を行えるのを肌で感じることできた。今後の成長産業として大きな魅力を持つ分野だ。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :ワイヤレスジャパン2014
- 主催
- :リックテレコム 日本イージェイケイ
- 開催日
- :2014年5月28日~30日
- 開催場所
- :東京ビッグサイト(東京都江東区)
【関連カテゴリ】
その他




注釈
*:ヒヤリハット
大きな事故にはならないものの、事故に直結してもおかしくない「ヒヤっとした」「ハッとした」体験のこと。