セミナーレポート

通信、コンテンツのカオスを制するのは

Japan IT Week 2014を取材

2014/6/5

 2014年5月14日から3日間開催された Japan IT Week。最終日に行われた講演にはソフトバンクテレコムの今井康之氏と、慶大特別招聘教授の夏野 剛氏が登壇し、注目を集めた。

Japan IT Weekの会場の様子
Japan IT Weekの会場の様子

モバイルデバイスは各国に差


 一口に「スマートデバイス」と言っても、メーカーやOSのシェアは国によってまちまちだ。


 米国の携帯キャリアSprintを傘下に置き、同じく米国キャリアのT-Mobile買収も視野に入れているソフトバンク。登壇したソフトバンクテレコムの今井康之氏は、「デバイス・OS・アプリが混在している状況をいかに管理するかが課題」と述べた。


 今井氏は、「世界基準のワークスタイル」と銘打った同社の戦略を紹介。アプリ、課金、MDM(モバイルデバイス管理)などを、メーカーやOSが違っていてもリモート管理できるサービスを展開している。


 また、スマートフォン向けのアプリ開発も「MEAP」というクラウドサービスを提供し、iOSやAndroid、WindowsのマルチOSをシングルソースコードで一元管理できるようにしている。


 同氏は、大手女性下着メーカーのワコールのシンガポールにおける事業展開からO2O(オンラインから実店舗への誘導)事例も紹介した。ワコールではFacebookを利用して、シンガポールの22歳から25歳までの女性をターゲティングにして広告を打ち、割引クーポンを発行している。クーポンの発行数と、実店舗への来店者のデータを収集し、「クーポンを利用した人」や「クーポンをもらったけれど来店しなかった人」の分析などを行うことで、マーケティング戦略に反映するという。


 今井氏はIoT(モノのインターネット)にも触れた。「実験段階ではあるが、海外に輸出したオートバイに通信機能をつけ、走行距離やタイヤの減り具合、メンテナンス時期などのデータを集めている」と述べ、さらなるビジネスチャンスに狙いを定めていることを示唆した。

テンションの高い講演を行った夏野氏   ソフトバンクテレコムの今井氏
テンションの高い講演を行った夏野氏   ソフトバンクテレコムの今井氏

夏野 剛氏、昨年に引き続き企業組織に「喝」


 通信だけでなく、コンテンツ業界も変革期を迎えている。


 Japan IT Week開催初日と同日の2014年5月14日、出版大手のKADOKAWAと、ニコニコ動画などのWEBコンテンツ配信事業者のドワンゴが経営統合を発表した。


 2013年に引き続き登壇した慶応大学特別招聘教授の夏野 剛氏は、経営統合後の同社取締役に就任予定だ。経営統合については「スピード感のあるドワンゴと、編集力を持つKADOKAWAが、お互いの足りないところを補った」ものであるとした。夏野氏はこの統合を踏まえたうえで「日本は経営統合や合併が少なすぎる。もっとダイナミックに行うべき」と語気を強めた。


 加えて、人口減少という課題を抱えた日本で「前と同じビジネスモデルをやっているだけでは、いずれシュリンク(縮小)することになる」と夏野氏は強調。予定調和で議論を軽視するのではなく、意見をぶつけ合わせて摩擦を起こさなければイノベーションにつながらないとした。


 前回登壇時と同じく、「効率」「検索」「ソーシャル」の3つが、近年のもたらされた革命だと述べた夏野氏。これまで新聞・出版・テレビがプラットフォーマーでありコンテンツプレーヤーであった基盤が、インターネット上でフラット化していくなかで、KADOKAWA-DWANGOは1つの指標となりそうだ。


 コンテンツの作り手、そしてコンテンツをネットワークに乗せる通信キャリア…。混沌とした業界の変化に、ビジネスパーソン個々人も対応が必須となる時代になっていくのを肌で感じる講演となった。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:Japan IT Week 春 2014
主催   
:リード エグジビション ジャパン
開催日  
:2014年5月14日~16日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

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