セミナーレポート

アジアのディスプレイ開発競争

第24回ファインテックジャパンが開催

2014/5/15

 スマホだけでなく4Kテレビの急速な普及やウェアラブルデバイスなど、パネル市場のニーズは多様化の一途をたどっている。

 2014年4月16日~18日の展示会「第24回ファインテックジャパン」初日に行われた基調講演では、日本・韓国・台湾のメーカーが登壇し、それぞれの展望を披露した。

会場は日韓台のディスプレイメーカーに高い関心をしめした聴講者でいっぱいだった
会場は日韓台のディスプレイメーカーに高い関心をしめした聴講者でいっぱいだった

予想以上に普及進む4Kテレビ


 コモディティ(陳腐)化と最新技術開発のサイクルが年々短くなっているFPD(フラットパネルディスプレイ)。特にテレビ用パネルは、4Kテレビの普及率が予想以上に高まっている。中国では2014年中に40%、日本も30%台に達すると見込まれている。放送インフラの建設スピードを超えて、端末の普及が進んでいるというのが現状だ。


 4Kテレビを始めとする次世代テレビに求められているのは「高解像度」だ。「高解像度」については、メーカー各社が「ダイヤモンドピクセル」(サムスンディスプレイ)、「クアトロンプラス」(シャープ)といったパネル技術で供給を競い合っている。「曲面ディスプレイ」も注目技術の1つだ。視聴者が目を動かさず、臨場感のあるディスプレイにするための視野角の研究などが行われている。


 サムスンディスプレイのキム・ハクスン氏は「(人間の)五感のうち、84%は視覚だと言われている。曲面ディスプレイでより情報を取得できる」と息巻いた。


 曲面ディスプレイもさることながら、画面の形を自在に変えられる「フレキシブルディスプレイ」も、パネルメーカーの技術開発案件だ。液晶でも画面を曲げられるが、バックライトのいらない有機ELディスプレイにも注目が集まっている。


 ただ、フレキシブルディスプレイの実現には、ディスプレイのコーティング技術やフィルム技術の発展が必要だ。加えてフィルムをつなげる接着技術も、フレキシブルディスプレイ実現へ向けての課題となっている。

シャープの水嶋繁光氏   サムスンディスプレイのキム・ハクスン氏
シャープの水嶋繁光氏   サムスンディスプレイのキム・ハクスン氏

車載用ディスプレイは拡大、省電力が開発のキモ


 堅調な市場拡大が続いているのは車載用ディスプレイだ。ディスプレイ用途はカーナビやオーディオ表示が中心だが、車載カメラのモニターとしての利用需要もある。米国では、2018年以降に販売される4.5トン以下の新車に対し、リアビュー(後方確認)カメラの設置が法律で義務付けられた。スマートフォン並みの操作性に加えて、今後は急激な温度変化に対してもはっきりと映像が見える視認性が要求される。


 ディスプレイには「省電力性」も求められている。テレビ、スマートフォン、車載用など、ディスプレイの用途が多様化すれば、利用場所も様々だ。その分、電源の確保が容易でなかったり、モバイル端末ではバッテリー容量の制限があったりする。シャープの水嶋繁光氏が「スマホのキーポイントは、解像度と省電力」と言及したように、スマートフォンではバッテリー消費のかなりの割合をディスプレイ表示が占めている。低消費電力では有機ELパネルも実現可能ではあるが、高精細と低消費電力がトレードオフの関係になってしまうという。


 有機ELパネルには「画面の焼き付き」問題もある。現在は1日8時間までの使用ならば焼き付きに耐えられるが、水嶋氏によればスマートフォンの利用時間は1日8時間程度という調査もあり、課題が残る。「液晶パネルが一番早く(省電力化に)対応できる」(水嶋氏)とのことだ。


「変わり種」ディスプレイも


 メーカー各社は、透明(シースルー)ディスプレイなどの開発にも力を入れている。店舗のウィンドウにシースルーディスプレイを置けば、空間を遮ることなく情報を表示できる。ミラーディスプレイは、美容院やアパレル店舗での商品紹介にも活用が期待されている。


 顧客ニーズの掘り起こしや、ディスプレイ開発の環境変化で気になるのが、目下経営再建中のシャープだ。講演の冒頭で「弊社の状況で、みなさんにご迷惑をおかけしている」と切り出した同社の水嶋氏の言葉が重い。製品のコモディティ化が激しい中で、世界を相手にどのような価値を提供して生き残っていくのか。日本企業の正念場は、まだまだ続きそうだ。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:第24回ファインテックジャパン
主催   
:リードエグジビションジャパン
開催日  
:2014年4月16日~18日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

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