セミナーレポート

カーナビ、販促…クルマのデータ活用術

国際自動車通信技術展が開催

2014/4/17

 マーケティングツールからカーナビシステムまで、自動車を取り巻く環境は日を追うごとにITの影響が強まっている。3月12日から3日間かけて開催された国際自動車通信技術展では、自動車販売の現場で活用されるポイントシステムから自動車OSの将来まで、幅広い展示・講演が行われた。

売上や顧客情報をクラウドで管理するシステム
売上や顧客情報をクラウドで管理するシステム

自動車販売とポイント活用


 ITとは一見無縁と思える自動車整備業界。だが、自動車販売台数の減少に加えて、業界の抱える「2014年問題」で、顧客データを有効活用しなければ生き残りが厳しいという。


 「2014年問題」といっても、Windows XPのサポート終了のことではない。東日本大震災の影響で、2014年に来るはずだった車検台数が激減する、というものだ。車検のパイが減少し、やむを得ずレンタカーや中古車販売に事業を広げて「クルマのことならなんでも取り扱う」というのが現状である。


 新車販売も伸び悩む中で、注目を集めるのが「マーケティングツール」としてのポイントサービスだ。ディーラーの持っている車検情報は貴重な顧客情報である。この情報と、ポイント付与によって得られる来店頻度や売り上げ単価のデータを統合して分析し、リピーターを獲得するのである。


 しかし、単にポイントサービスを始めるだけで、顧客のリピートにつなげるのは難しいという。「自社でしか使えないポイントは、よほどの付加価値をつけない限り厳しい。それより、マイレージなど換金性の高いポイントを利用したほうがいい」(クラブネッツの松崎利信氏)とのことだ。

超小型モビリティ「MC-β」用のカーナビアプリ   パイオニアの山下元之氏(右から2人目)
超小型モビリティ「MC-β」用のカーナビアプリ   パイオニアの山下元之氏(右から2人目)

カーナビアプリ


 今回の展示では、カーナビとネットワークの連携に関連する展示が多数見受けられた。本田技研工業は、今回のイベントで超小型モビリティ用のカーナビアプリを初公開した。市販のAndroidタブレットを利用したもので、カーナビの画面のまま、スワイプ操作でオーディオアプリを起動できるようになっている。ウィジェットとしてアプリを表示させることで、運転中の操作を減らすことが狙いだ。同社の滝川桂一氏は「将来的にはFacebookやLINEもウィジェットで立ち上げることも検討している」と話した。


 ナビタイムジャパンのブースでは、車載カーナビに駐車場のリアルタイム空き状況や、最新ニュース表示などのオプションをつけたアウディの実車展示、検索バックミラーに道順を表示するデモなどが行われていた。


 1981年に、ホンダが世界で初めて開発した「エレクトロ・ジャイロケーター」。から始まるカーナビの歴史は30年以上経って劇的に変化した。会場内で行われたパネルディスカッション「ナビゲーションの未来はどうなるか?」では、業界関係者による突っ込んだ議論が行われた。


カーナビを巡るビジネスの未来


 音声認識技術などを手掛けるイナゴ社のロン・ディカールアントニオ氏は「ナビゲーションのUI(ユーザインターフェース)は人間に近づくべきだが、まだまだ(技術が)足りない」と現状を指摘。カーナビと自動車の連携については「ナビとスマホの区分けをユーザは考えていない。シームレスなデバイスのやり取りが必要」と指摘した。


 カーナビの成長についてトヨタの山田博之氏は、「『目的地に行く』という意味ではカーナビは完成している」として、ドライバーの志向に合わせた経路案内の開発を進めていると述べた。


 オンラインで自動車がつながる中、Appleの「CarPlay」を始め、「自動車OS」という共通のプラットフォームができつつある。サードパーティの参入も激しくなる中、この動きに既存のカーナビ関連企業はどう対応するのか。ナビタイムジャパンの大西啓介氏は「我々はどんな形態になろうが、付加価値をつけていくしかない」と決意を述べた。


 自動車のネットワーク化はとどまるところを知らない。展示や講演を聞く限り、カーナビシステムは、今後アプリ販売という形にシフトするのではないかとみられている。自動車とITの将来を見据え、関連企業は今日もしのぎを削っている。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:第5回 国際自動車通信技術展
主催   
:国際自動車通信技術展実行委員会
開催日  
:2014年3月12日~14日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

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