セミナーレポート

オムニチャネルの実現可能性

リテールテックJAPAN2014を取材

2014/4/7

 スマートフォンからアクセスしても、リアルの店舗でもシームレスに商品を受け取ることができる――。こうした環境は流通業界で「オムニチャネル」と呼ばれている。流通のIT活用はどこまで進化するのか。「リテールテックJAPAN2014」が2014年3月4日から7日まで開催された。

様々なデモが行われたリテールテック
様々なデモが行われたリテールテック

あらゆるデバイスで「オムニチャネル」


 イオンリテールが発行している電子マネー「WAON」で保有しているIDは3900万にのぼる。同社社長の梅本和典氏は「POSを使った購入履歴でリピーターを創出する」と意気込んだ。


 同社では、スマートフォン用アプリ「イオンアプリ」も開発している。WAONのIDに限らず、スマートフォンユーザ全てが利用できるようにしている。店舗での利用形態は様々だ。生鮮売り場のポップを撮影すると、その食品を利用したレシピが表示される。これによってレシピに必要な他の商品の購入にもつながってくる、という仕掛けだ。「将来的には洋服のコーディネートを表示することも考えている」と梅本氏はアプリの展望を述べた。


 他にも、イオン店内にはサイネージ自販機も設置。サイネージに広告を流すことで子どもの「おねだり」を促し、親子連れの広告視聴時間を増やすようにする、という取り組みも行っている。電子マネー、サイネージ、アプリなど、あらゆるデバイスやプラットフォームを利用して顧客のスマートフォンと連携させて「オムニチャネル」を目指しているという。

イオンリテールの梅本氏   大手小売、流通の講演とあって会場は超満員だった
イオンリテールの梅本氏   大手小売、流通の講演とあって会場は超満員だった

RFID、ビームスの活用


 顧客のスマートフォンの活用に加えて、流通業界のもう1つのトレンドが「RFID」だ。これまで一般的だったバーコード入りのタグに代わり、徐々に導入が行われている。


 バーコード入りのタグは1枚当たり5円前後。この普通タグには、通常1個約30円の「防犯タグ」がセットで必要である。一方、RFIDは、防犯から売り上げデータ、出荷、棚卸業務がついて、コストは1枚当たり20円弱である。このコストを、導入側のユーザ企業はどう捉えるのか。


 すでに一部店舗でRFIDを導入しているビームスは、2016年に全店へRFIDの導入を目指している。同社の清水伸治氏は「(普通タグとセットの)防犯タグは使い回しがきくものの、実際には4回転程度の利用なので、1個当たりの単価は8円程度になる。RFIDの価格は許容範囲」と述べている。


 導入コストもさることながら、清水氏は棚卸業務をRFID導入のメリットに挙げた。それまで店舗ごとに全商品を1つずつ確認していたのが、RFIDは読み取り機をかざすだけでタグデータを取得できるようになっている。このため、作業時間は実に90%削減されたという。


 読み取り機をかざすだけなので、従業員の専門知識も不要だ。「30分で全在庫の98%を取得できている。100%の把握はあり得ないので、99%を今後の目標にしたい」と清水氏は述べた。


 ウェアラブルデバイスを始め、スマートフォンを中心とするInternet of Things (IoT)が徐々にビジネスに浸透してきている。流通や小売にとって、顧客情報の取得・活用は死活問題だ。


 顧客情報とIT活用は切っても切れないものになっている現在、マーケティングツールの開発は、より一層磨きがかかりそうである。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:リテールテックJAPAN2014
主催   
:日本経済新聞社
開催日  
:2014年3月4日~7日
開催場所 
:東京ビッグサイト(東京都江東区)

この記事のキーワード

【キーワード解説】RFID

【関連カテゴリ】

トレンド