セミナーレポート
災害時に必要とされる技術
保安電子通信技術セミナー・展示会を取材
2014年2月19日、東京国際フォーラムで第5回保安電子通信技術セミナー・展示会が開催。災害時に活用される通信技術・ロボットなどに関する講演・展示が行われた。東日本大震災を契機に、警察や消防が使う非常時に関する技術が整備されている。講演ではその概要について説明があった。
![]() |
| 会場で展示されていた蛇型ロボット |
災害時に活躍するロボット
東京工業大学名誉教授の広瀬茂男氏は、災害時や原子力発電所の点検の際、人が立ち入れない場所の状況を伝えられる蛇型のロボット「蒼龍」を紹介した。
蛇型ロボットは関節に車輪がついていて、狭い場所でも本物の蛇のように進めるのが特徴。先端のカメラが周囲の状況を映し出す。
これまでの蛇型ロボットは関節が多いため埃が入りやすく、谷間があるとうまく進むことができないという課題もあったという。そこで研究を重ね作り出されたロボットが「蒼龍」だ。全体がクローラー(キャタピラ)でカバーされていて、推進力が高いのが特徴だ。
広瀬氏は、災害時のロボットをつくる際の重要な点として、「何をやるかという目的を明確にさせること」と説明。「何でもできるのがロボットの理想像だが、それを実現しようとすると何もできない」とし、目的を達成するための必要最小限のことをロボットに反映させるべきとした。
![]() |
![]() |
|
| 東京工業大学名誉教授 広瀬茂男氏 | 警視庁捜査支援分析センター所長 小山由夫氏 |
警察が頼りにする画像情報
警察庁情報通信局通信施設課長の彦坂正人氏は、警察の情報通信について講演を行った。彦坂氏によると警察は事件発生時における現場の画像を重宝しているとのこと。機動警察隊が撮影する現場の映像や、ヘリコプターテレビシステムで撮影した上空からの画像を警察本部に伝送するシステムなどが大いに活用されているという。
こうしたシステムは現場の状況を伝えることで、事件の解決や事故・災害を鎮静化につなげられるなど大切な役割を果たしている。彦坂氏は「事件事故・災害の際、警察が組織力を行使するうえで必要なのが、現場の映像を確認すること」とし、システムの重要性を強調した。
彦坂氏は警察の「110番」で使用している通信指令システムを紹介した。通報者が110番に通報すると、通信指令室の担当者につながる。担当者は通報者から事件・事故の情報、場所の情報を把握。位置情報システムなどを利用して、発生現場に捜査員を向かわせることができる。
彦坂氏は自身が体験した通信指令システムの活用事例を報告した。島根県の大学を爆破予告する電話が、公衆電話から110番通報でかかってきた。通報から位置を割り出して捜査員を派遣したところ、コンビニにある防犯カメラに被疑者らしい人物を確認。モニターを携帯電話で撮影し、近くの捜査員に画像を配信したという。当時、大学内では国家試験の最中だったため試験を止めさせ、交通整理をするなど素早く対応。大学周辺を捜索したところ、よく似た人物を発見、事件解決につなげたとのことだ。
防犯カメラの威力
防犯カメラを活用した事例は多くみられる。警視庁捜査支援分析センター所長の小山由夫氏は、防犯カメラと犯罪調査について講演した。小山氏によると、防犯カメラによる事件の検挙率は年々高まっており、防犯カメラを使用しない事件捜査はほとんどないという。
防犯カメラの役割は2つある。1つは犯罪をしようとする人にカメラを意識させ、犯罪を未然に防ぐこと。もう1つは犯罪が発生した場合、映像から犯人を特定して逮捕・起訴するまでの時間を減らすことだ。
小山氏によると防犯カメラを設置する場合、システムの規模、施設を守るために必要なカメラ台数のほか、撮影の範囲となる画角をどうするか、何を中心に画像を撮るかなどがポイントになるとしている。
また、防犯カメラに求められる性能として、「解像度」「暗い場所でどれだけ鮮明な映像を映し出せるか」「逆光補正機能が十分か」の3つを列挙。さらに「ここ数年で、高性能で比較的安価なカメラが増えている」とし、防犯カメラの普及が進んでいることを紹介した。
災害時に使われるロボットや通信設備などは、東日本大震災以降、重要性が高まるばかりだ。その効果を認知させるうえで同シンポジウムの役割は大きい。日進月歩の技術革新が、災害の鎮静化や犯罪の解決に直結するだけに、今後の展開に期待したい。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :第5回 保安電子通信技術セミナー・展示会
- 主催
- :保安通信協会
- 開催日
- :2014年2月19日
- 開催場所
- :東京国際フォーラム(東京都千代田区)



