セミナーレポート
超小型EV・太陽光…未来のライフスタイル
みんなの環境エネルギーフェスタが開催
町田、八王子など多摩地区の商工会議所などが主体となって、2月7日に「みんなの環境エネルギーフェスタ2014」が開催された。
人口減少社会を迎える日本で、私たちの生活はどう変化するのか。自動車の利用方法や無線充電技術など、エネルギーの取得方法や利用方法について講演や展示が行われた。
車と街のあり方を解説する名大の深谷氏 |
車のトレンド
長らく日本の基幹産業だった自動車は、自動走行や自動ブレーキなど、技術進化を続けている。その一方で、「砂漠を走る能力のある車で、近所の買い物に行っている」と指摘したのは名古屋大学招聘教員の深谷信介氏だ。
深谷氏によれば、1997年のプリウス発売以来、自動車の進化はエンジンとモーターを組み合わせた「ハイブリッド車」から2手に分かれているという。一方は自宅のコンセントからの充電を可能にしている「プラグインハイブリッド車」、もう一方は「EV(電気自動車)」「水素」「燃料電池」など、ガソリン以外の燃料を使う自動車だ。
こうした変化とともに、軽自動車よりも小さい1人乗りのパーソナルモビリティが今後のトレンドであるという。深谷氏はその理由を「単身世帯の増加」だとしている。これまでも増加傾向のある単身世帯は、約35年後の2050年には推計値で人口の約4割に達する見込みだ。
「子どもを見込んでワンボックスカー」という世帯自体が減少している。なおかつ、ワンボックスカーを持つ家庭も、自動車の利用シーンは通勤通学の送迎や近所への買い物がほとんどを占める。
展示製品の解説を受ける来場者 | 太陽光パネルを浮かべるためのフロート。海のブイと同じ材質だ |
街づくりと乗り物・2人乗り超小型モビリティEV
「都市の中心地から数キロメートルの生活圏」となる中で、必要になるのは1人用の乗り物だ。
横浜市青葉区では、東急田園都市線「たまプラーザ駅」周辺在住の7家族に2週間、超小型モビリティ(2人乗り)EVを貸与する実証実験が行われた。日常生活での利用状況は「楽に移動できる」「窓がないので外の気配を感じられる」「新たなコミュニケーションのきっかけになった」という声があった。
EVの乗り心地も「静かな走行で、ガソリン車には戻れない」という意見がみられた。気になるEVの充電については、水素自動車に使う水素よりも電気はインフラがすでに整っているため、問題にならない。課題は走行距離だけのようだ。
深谷氏はこの実験結果について「『個』世帯が増える中で、車の新しい立ち位置」とし、将来的にはEVに乗りながら様々な買い物ができる「ドライブスルー・ショッピングモール」も夢ではないと述べた。
「ウェアラブル」な展示と未来
人口が減れば、都市部から離れた山間部まで生活インフラを充実させるのは困難である。寒村地区から都市部へ移住することで、生活インフラの維持はある程度可能になるが、今度は「20世紀は国家間だったが、21世紀は都市同士が競争相手」(深谷氏)になる。となれば、住みたいと思わせる街づくりは必須である。
フランスのストラスブール、ドイツのフライブルクでは、トラム(路面電車)やレンタサイクル、レンタバイクなどの交通インフラが整っている。日本でも富山市が都市近郊での集住政策を進めている。人口減少と、老若問わず増える単身世帯を見据えた街づくりは、「コンパクト化」がトレンドだ。
展示会場では「ウェアラブルエネルギー」として、水上に太陽光パネルを浮かべるフロートのほか、ワイヤレス給電のデモ展示などが行われていた。エネルギーを始め、車や街づくりで、どんなテクノロジーが未来を作るのか。不安でもあり、楽しみでもある。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :みんなの環境エネルギーフェスタ2014
- 主催
- :みんなの環境エネルギーフェスタ2014実行委員会
- 開催日
- :2014年2月7日(8日は雪のため中止)
- 開催場所
- :玉川大学(東京都町田市)
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