セミナーレポート
活用の場が広がるG空間情報
G空間EXPO2013を取材
G空間EXPO2013が2013年11月14日から16日にかけて、日本科学未来館で行われた。G空間情報(地理空間情報)やSNSと連携した取り組みについて講演が行われた。
![]() |
| 多くの人が訪れたG空間情報EXPO |
海外のオープンデータの事例
経済産業省商務情報政策局の和田恭氏は、G空間情報の発展に欠かすことのできない「オープンデータ」について、海外の事例を紹介した。
米国は、オープンデータの取り組みが最も進んでいる。オバマ大統領は就任時から政府が透明性の高いデータの開示を推進。WEB上で誰でも簡単に読み取れ、機械判読も容易にできるテキストデータやCSVデータで情報を公開するなど施策を進めてきた。
民間レベルでもその動きは活発だ。不動産に関する様々な情報(価格や写真、地図など)を、不動産業者だけでなく、一般消費者にわかりやすく提供するサービス「MRIS(Metropolitan Regional Information Systems)」が登場。すでに25の不動産協会が契約し、推定年間売上高が5,000万ドルとなるまで急成長を遂げている。
また欧州でもオープンデータの活用は進んでいる。英国では自治体の予算データを公開し、市民による予算削減の提案が可能なサービス「YOU CHOOSE」が登場。市民の行政への関心が高まるとともに、行政への参加意識を醸成。結果、市民の行政に対する不満の低下がつながるなど、効果が出始めている。
一方、日本でオープンデータの勢いが加速したのは東日本大震災以降だ。政府が公表している電力消費量などのデータがわかりにくかったため、ユーザが自分たちで情報を使いやすくしようとする機運が高まったのがきっかけだという。政府もこの経験をふまえ、2012年7月にオープンデータ戦略を策定。2013年度中に防災・減災情報の優先的な掲載を進め、自由な2次利用を認める利用規約を導入するとともに、2013年度以降も機械判読に適した国際標準データ形式導入の拡大を行う構えだ。
![]() |
![]() |
|
|---|---|---|
| ナイトレイ社長 石川豊氏 | Mozilla Japanの開発したITバス |
地図情報とSNSとの連携
株式会社ナイトレイ社長の石川豊氏は、SNSから採取したデータと場所や地域に関する情報(GISデータなど)を組み合わせた自社の自治体や企業向けサービスについて講演を行った。
同社は、例えば箱根を旅行する人の出発時間や現地の到着時間、どこでどんな発言をして帰宅したかを集計し、地図上に表示するといったサービスを展開している。また他の企業と協力して、ソーシャルデータを元に駅周辺の道の通行量を、特定の期間・時間で取り出し地図上に可視化するサービスも行っている。こうしたサービスは、住民や顧客のニーズに合わせたプロモーションや販促、危機管理など、様々な用途への活用が期待される。
石川氏は「地図情報にソーシャルメディアの情報を組み合わせて、情報の価値を高められる。自分たちのデータだけではなく、他の企業や自治体がもつデータと組み合わせて、顧客が満足できるような価値を提供していきたい」と意気込みを話した。
ITバス「MozBus」
WEBブラウザのFirefoxなどを手掛けるMozilla Japanは、自家製発電機や衛星ブロードバンド車載局、3Dプリンタなどを搭載したITバス「MozBus(モズバス)」を展示していた。モズバスは、普段はWEBやICT教育などに関する研究や移動型ワークショップを行っているが、非常時には防災インフラなどにも使うことができる。
2013年10月に「Open Street Map Foundation Japan*」と協力し、被災地となった宮城県南三陸町の地図作りに関わるなど、その活躍の場を広げている。
Mozilla Japan代表理事の瀧田佐登子氏は「平時のワークショップや研究などはもちろん、非常時のライフライン確保など、バスが常に情報拠点として活用できるのは意義深い」と説明。バス自体に「こう使ってもらいたい」というものはなく、様々な人や団体とコラボレーションすれば、バスの可能性が広がるとした。さらに瀧田氏は「アジアは災害が多い。様々な人に災害時に活用してもらい、新たな価値を生み出すことができれば」とし、モズバスの活躍を期待した。
スマートフォンの浸透により一層身近になったG空間情報。オープンデータの活用やソーシャルメディアとの連携によって、その可能性が一層広がるのが伝わってきたシンポジウムだった。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :G空間情報EXPO2013
- 主催
- :G空間情報EXPO2013運営協議会
- 開催日
- :2012年11月14日~15日
- 開催場所
- :日本科学未来館(東京都江東区)
このセミナーレポートのキーワード
【キーワード解説】オープンデータ




注釈
*:Open Street Map Foundation Japan
フリーの地理情報データの作成を目的としたプロジェクト。