セミナーレポート
LINE、Twitterの展望
Japan IT Week2013秋、基調講演レポート
LINE、Twitterなど、今をときめくSNSは、BtoBでどのような運用方針を立てているのか。2013年10月23日から3日間、Japan IT Week2013秋が幕張メッセで開催された。基調講演では、SNSビジネスの現状と展望が語られた。
Japan IT Week2013の展示会場の様子 |
LINEの年齢バランスは均等
基調講演に登壇したLINEの出澤剛氏は、無料通話アプリ「LINE」の利用状況を紹介した。LINE絡みの報道では、10代の利用が注目される。しかし利用調査では、10代から50代までの利用率は均等であったという。
出澤氏は、LINEがSNSサービスの中でも利用頻度が高いことを強調した。「毎日3000万人が使っており、時間の占有率も高い」と述べ、可処分時間の多い割に広告コストがテレビ等の媒体と比較して低価格であることをアピールした。
LINEの収益は、「ゲーム」や「スタンプ」におけるユーザ課金と企業広告である。2013年11月7日に発表されたLINEの2013年7月~9月期売上は191億円。ゲーム課金とスタンプ販売が8割を占める。
LINEの無料メッセージ内で使われる「スタンプ」は、デフォルトのものに加えて、課金販売されているもの、企業アカウントを友だちに登録するともらえるスタンプなどがある。
デフォルトのスタンプだけでは「飽き」が出るので、ユーザは「タダでスタンプをもらう」ために企業アカウントを友だちに追加する。企業アカウントから広告がくる、という仕組みだ。ただ「ユーザ目線での広告」をコンセプトに挙げており、「あざとさ」がないことも強みに挙げている。
LINEの出澤氏には、名刺交換に長蛇の列ができた | Twitterジャパン設立の経緯を語る牧野氏 |
LINE、企業アカウントの立ち位置
企業アカウントも、ユーザと同じインターフェースにしているため、さほど違和感を抱かせずに企業のPRができる。企業アカウント活用では、ツルハドラッグの事例が挙げられた。全国約1000店舗それぞれで小売店用のLINEアカウントを取得し、新聞の折り込み広告代わりに情報を発信しているという。
「企業アカウントも、『友だち』としてフォローしない限り、広告が出ない。スタンプも、ユーザの感情を表すものがメイン」(出澤氏)という仕様になっている。余計な広告で、ユーザを不快にさせないためである。
米国で圧倒的なシェアを誇る無料メッセージアプリ「WhatsApp」も、2年目以降の利用で年間99セントを支払うという仕組みで、広告は一切表示されない。ただ最近は「メッセージでのやり取りの中に、広告を割り込ませる実験をしている」、というニュースもある。日本を席巻したLINEが今後どのような展開をしていくか、注目が集まる。
Twitterはキーワード検索で企業のマーケティング
一方、SNSの先駆けで、1日に5億回のツイートが流れるTwitterはどうか。Twitterジャパンのパートナーシップディレクターの牧野友衛氏は「知人のつぶやきというよりも、世の中の動きにつながることが目的」と、LINEとのコミュニケーションツールの違いを述べた。
登録に必要な情報はメールアドレスのみ、という手軽さでユーザの88%が1日1回アクセスしているという。特に日本は、アクセスしたユーザのうち、85%がツイートを投稿している。
Twitter上の発言を分析するツールも数多くある。2013年の参院選では、毎日新聞や朝日新聞によって、選挙前のツイートでどんな政策についてのつぶやきが多いか、などが分析された。米国の大統領選では、Twitterのリアルタイムで、ツイートを元に候補者の支持率を分析した。結果は、世界的な世論調査会社・ギャラップとほぼ同じ内容だったという。
企業のマーケティングにも活用されている。東京・渋谷にある複合ビル・東急ヒカリエでは、ショッピングエリアのオープン1ヶ月前とオープン後のツイートを検索・収集し、店舗運営の改善につなげているという。
ツイートやFacebookの投稿など、オンラインの情報をリアルタイムに検索する機能は、日に日に充実してきている。ただ、利便性の高いサービスが提供されていく中で、「本当に分析が必要なことなのか」という視点に立ち返ることも必要だろう。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :Japan IT Week 秋 2013
- 主催
- :リードエグジビションジャパン
- 開催日
- :2013年10月23日~25日
- 開催場所
- :幕張メッセ(千葉県千葉市)
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