セミナーレポート

NICT、夏休み施設公開

セキュリティから宇宙光通信まで

2013/8/22

 情報通信研究機構(NICT)が、2013年7月24日と25日に、東京都小金井市にある本部の施設を一般公開した。情報セキュリティ分野の解説から宇宙光通信施設の見学、南極越冬隊との交信イベントに、夏休みに入った家族連れが大いに楽しんだ。

サイバー攻撃アラートシステム「ダイダロス」の画面
サイバー攻撃アラートシステム「ダイダロス」の画面

NICTのセキュリティシステム


 インターネット上のサイバー攻撃の監視などを行っているNICTのインシデント分析センター。ここではNICTが開発したネットワーク攻撃可視化ツール「nicter」などの解説が行われた。


 nicterは、IPアドレスのうち、利用されていないアドレス(ダークネット)を監視している。ダークネットに不審なアクセスが来た場合、アドレスやポートが分かりやすく表示されるシステムだ。子どもたちにはIPアドレスを「家の住所」、ポート番号を「家の窓」に例えてnicterの解説を行っていた。


 nicterはネットワーク上の監視を行うほか、ハニーポットでマルウェアを収集し、検体分析も行っている。ネットワークで発生している現象と、マルウェアの分析による原因を照合させて、リアルタイムでISPなどへ警告を発する仕組みになっている。


 NICTサイバー攻撃対策総合研究センターの沼田文彦企画室長は、「迷惑メールの9割を占めるボットの可視化」がnicterの目的と語る。三角錐の形をしたパケットが、地球上のあらゆる地域から飛んでくる3D画面は、数字の羅列よりも格段にわかりやすいものになっている。


 表示方法も地球の画面だけでなく、IPアドレスとポートをわかりやすくした「キューブ」や、どの国からアタックがあるかどうかを見ることができる「タイルズ」という表示方法もある。こうしたビジュアライズによって、自社のセキュリティに関心のない経営者やITに詳しくない政治家も、nicterを見せるとセキュリティへの理解が高まるという。


 ネットワークを監視するnicterの技術を応用したシステムも多数ある。


 「ダイダロス」は、NICTと協定を結んでいる官公庁や企業ドメイン内のダークネットにnicterセンサを設置したもの。ライブネット(ドメイン内で使用中のネットワーク)からダークネットへパケットが流れるとアラート表示をする仕組みだ。アニメ「エヴァンゲリオン」のゼーレを想起させるダイダロスのビジュアルも、ネットワークセキュリティの理解を助ける一端となる。


 「ニルヴァーナ」は、ドメイン内の通信を監視するシステム。不審な通信を監視するほか、組織内のネットワークトラブルを追跡することもできる。nicterやダイダロスと違い、ニルヴァーナはライブネット上に置いてある。「nicterが取り組んでいなかったライブネット上の分析やデータの処理については今後の課題」(沼田氏)だという。

直径1.5mの光通信用望遠鏡   南極越冬隊員との質疑応答コーナー
直径1.5mの光通信用望遠鏡   南極越冬隊員との質疑応答コーナー

南極隊員との中継も


 このほかにも様々なツアーが催された。見学ツアーでは、普段立ち入ることのできないNICTの施設4ヶ所に足を運べる。そのうちの1つに宇宙光通信用の1.5m望遠鏡がある。宇宙衛星と地上のデータ送受信は電波で行われているが、この設備は電波よりも大容量の通信ができるレーザー光でのデータ通信を研究している。子どもたちは飽きることなく、望遠鏡の中を覗いたりロープを使って、数トンもの重さがある望遠鏡を回転させたりしていた。


 中でも盛り上がったのは、24日に行われた第54次南極観測隊の越冬隊員との中継だ。モニターに写された南極隊員が南極にまつわるクイズを出しながら、ホールに集まった大勢の子どもたちの疑問に答えていく。子どもたちは「なぜ1万年前の氷とわかるのか?」「犬ぞりは今でもあるのか?」と、隊員を質問攻めにしていた。


 宇宙、南極、ネットワークセキュリティなど、見学や体験学習がそのまま「自由研究」となるので、子どもたちにとっては一石二鳥のイベントとなっただろう。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:NICT 夏休み特別企画
主催   
:情報通信研究機構(NICT)
開催日  
:2013年7月24日~25日
開催場所 
:NICT(東京都小金井市)

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