セミナーレポート

理研で遺伝子を楽しく学ぶ

理研バイオリソースセンターの一般公開を取材

2013/5/9

 2013年4月19日と20日に、茨城県つくば市にある理化学研究所(理研)のバイオリソースセンターが一般公開を行い、日ごろの研究内容を紹介した。DNAの解説やマウスの展示などを通じて、普段は接点のない家族連れと「研究者」との交流の場となった。

サケのDNA
サケのDNA

文科省の科学技術週間


 今回の一般公開は、文部科学省の定めた「科学技術週間(発明の日である4月18日を含む1週間)」の一環で行われたもの。関連イベントは各地で行われていたが、つくば市周辺ではバイオリソースセンターのほかに、筑波大学、気象庁、民間企業含めて41ヶ所で行われた。


 バイオリソースセンターでは、遺伝子研究に関連する展示が数多くなされた。ヒトゲノムやDNAの解説コーナーでは、本物のサケのDNAが見られるほか、1億倍にしたDNAの組み立て模型が展示されていた。


 「最近の子どもさんは、DNAが2重らせん構造になっていることくらいは知っています。ですが、DNAは3次元ですので、黒板などで説明されてもなんとなくわかりにくい。なので、直感でわかるように模型を用意しました」と、新規変異マウス研究開発チームの権藤洋一氏は話す。DNA模型はパズルのようになっており、子どもたちは熱中して組み立てていくという。

突然変異を起こしたマウス   マウスの血圧の測り方を講演で紹介
突然変異を起こしたマウス   マウスの血圧の測り方を講演で紹介

マウスのデータは世界中とリンク


 DNAの役割や突然変異、人間の病気。これらがどのようにして起こるのか、などの研究は生物を対象に行うが、実験に利用されるのは主にマウスだ。マウスが実験に使われやすいのは、誰でも扱える動物であることと、発症する病気などが、人間のものと非常に似ているからだという。


 バイオリソースセンターには、マウスの体調を徹底的に分析する「マウス版人間ドック」とも言える「マウスクリニック」がある。身長、体重、血圧など、約400項目にわたる検査をマウスに行い、病気などを含めたマウスのデータを蓄積している。「生物に関しては、参照するべきデータが非常に多く、大規模なものになる」と話すのはマウス表現型知識化研究開発ユニットの桝屋啓志氏だ。


 マウスクリニックでは、世界中のマウス研究施設と連携して、マウスの分析データを共有しているという。そのため、「標準マウス表現型解析プロトコル」で、マウスに与える餌の中身、量、飼育するケージの素材、使用する検査機器が細かく規定されているという。


 世界中の実験データが集まるのは非常に有用だが、苦労もあったという。「データベースにかかわる部分はもちろん、IT以外のすり合わせが大変でした」(桝屋氏)。データの仕様もさることながら、症状に関する用語の統一作業を行わなければ、効率的に情報を利用することができない。こうした情報の入力方法のほかにも、マウス情報のアウトプット方法も標準化が進められている。


 マウスの解析作業は、糖尿病やガンなど、人間の病気の解析や新たな治療方法の開発につながっていく。「様々なデータが行われる中で、特定の分野に強い専門家も、別の専門分野への理解が必要になってきます」と桝屋氏は述べた。


 こうして真剣な分析に日々いそしんでいる研究者だが、この日ばかりは、マウスのぬり絵を会場に来た子どもたちと一緒に楽しんでいた。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:理化学研究所 一般公開
主催   
:理化学研究所 バイオリソースセンター
開催日  
:2013年4月19日~20日
開催場所 
:理化学研究所 バイオリソースセンター(茨城県つくば市)

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