セミナーレポート

キモはスマホ? 業界の今後を占うTGS2012

東京ゲームショウ2012で行われた講演を取材

2012/10/4

 一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は2012年9月20日、幕張メッセで東京ゲームショウ2012を開催した。日本を含む19の国と地域から出展があり、出展社数は国内126、海外83だった。4日間の入場者数は22万人にも上った。

アプリを使ったゲームで躍進中のグリーのブース
アプリを使ったゲームで躍進中のグリーのブース

スマートフォン向けタイトルの増加


 今年は、昨年から引き続きスマートフォン・携帯ゲーム、いわゆるアプリの出展タイトルの増加が目立ち、計265ものタイトルが展示されていた。開発期間・製作費などの大幅な違いがあり、単純な比較は難しいが、PC(32タイトル)やニンテンドー3DS(34タイトル)よりも圧倒的に多い。


 ブースでは、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)、カプコン、KONAMI、セガなどゲーム業界の雄とも言える企業と同程度のスペースで、アプリを使ったゲームで躍進しているグリーが出展。勢いを感じさせた。また各ゲームソフト開発を専門とする企業のブース内でも主力ゲームのほかにもアプリの展示がされており、各社の主力ゲームがアプリ用にアレンジ移植されるケースもあり、アプリへの顕著な移行が見て取れた。


日本ゲーム産業の大きな変化


 ゲームショウでは、メインとも言える展示以外にも、業界の有識者が業界の傾向やグローバル展開などに関する講演を行っていた。基調講演では、新しくCESAの会長に就任したバンダイナムコゲームス副社長・鵜之澤伸氏が講演を行った。


 鵜之澤氏は、日本ゲーム産業の大きな変化として「フリートゥプレイ」を挙げる。フリートゥプレイとは、通常のプレイ自体はネットワーク経由でソフトをダウンロードなどすることにより無料で行え、ゲームを有利に進めるための「アイテム」に課金を行うことで、費用を回収するというもの。


 これまでのゲームは、開発したソフトウェアを書き込んだ光ディスクなどの“現物”を販売してきた。ところが現物を買ったものの、ゲーム内容が気に入らないというような場合があり、購入に至るまでには常にハードルが存在していた。しかし“出だし”を無料にすることで「お試し」感覚でゲームが始められ、気に入ったらさらに有利に進めるため課金をするというモデルが登場したことにより、これまでコア層がプレイしてきたゲームが、かなりライトな層まで広がってきている。


 CESAのゲーム白書によると、国内の家庭用ゲーム機の国内市場は緩やかな右肩下がり。「しかし、ゲーム大手の業績は決して悪くない」と鵜之澤氏は続ける。それは、家庭用ゲーム機以外…つまりネットワークを経由したスマートフォン・携帯電話・PCなどのゲームで課金するビジネスモデルが確立されているからだ。日本では絶大な人気を誇るドラゴンクエストシリーズ(スクウェア・エニックス)も最新作はネットゲームとして出されている。「日本の業界の中でもゲーム業界は海外展開も積極的にしている。新しいモデルを模索し続けることで、ゲーム産業をこれからも元気な産業にしていきたい」と意気込みを述べた。

CESA会長 鵜之澤伸氏   グリー社長 田中良和氏
CESA会長 鵜之澤伸氏   グリー社長 田中良和氏

 続いて登壇したグリーの田中良和社長も「スマートフォンの普及がこれからも新興国などの市場があり、今後も(スマートフォンなどを利用したアプリのゲームは)伸びていく」と予想。「グローバル展開にも力を入れていかなければならない」と強調した。


 ゲームなどを楽しいと感じる要素は、文化的な背景に強く影響される場合が多い。そのため日本で人気のシリーズをそのまま輸出して、海外でも人気を得られるとは限らない。一方で、海外で高い人気を誇ったゲームも、日本に輸入されると鳴かず飛ばずという例も少なくない。


 グリーは米国、中国、シンガポールなどに拠点を設け「長期的にはそれぞれの国におけるローカルなサービスにシフトさせていく必要がある」(田中氏)と話す。各国の拠点からサービスを発信することで、国ごとのニーズに的確に対応していく構えのようだ。


 中国ではここ数年で、主流のモバイル端末はスマートフォンにシフトしており、韓国に至っては国民の半分以上が、スマートフォンを使い始めている。基調講演のあとに行われたアジア諸地域のゲーム開発者が集うパネルディスカッションでも、スマートフォンの市場が話題に上がった。各社が開発した“ゲーム機”と違い、スマートフォンならば世界共通のプラットフォームを市場とできることも大きい。


 パネルディスカッションに参加したDeNAの小林賢治氏は、米国市場で日本のゲームが好調なことに触れ「スマートフォン向けゲームの海外市場が今後、急激に伸びる、日本のソーシャルゲームも市場を席捲できるチャンスは十分にある」と力を込めた。


 世界的に見ても高く評価されている日本のゲーム市場は、スマホという新しいエンジンを得て、再び躍進しようとしている。様々なハードの変遷を乗り越えてきたゲーム業界が今回の大きな変化にどう対応するのか見守りたい。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:TOKYO GAME SHOW 2012
主催   
:一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
開催日  
:2012年9月20日~23日
開催場所 
:幕張メッセ(千葉県千葉市)

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