セミナーレポート

模倣品対策、半導体・農業の分野で着々と

JIPDEC主催の模倣品対策セミナーを取材

2012/9/24

 JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)は2012年9月10日、模倣品対策国際シンポジウムを開催した。半導体分野・農業分野における真贋判定や物流管理といった消費者の安全性確保・模倣品対策などについて講演が行われた。

模倣品対策に関心をもつ関係者で埋まった会場
模倣品対策に関心をもつ関係者で埋まった会場

半導体電子認証と今後の展開


 JIPDEC常務理事の小林正彦氏は、JIPDECが取り組んできた半導体の電子認証について言及。国内の半導体業界から模倣品対策のための国際的な枠組みを作りたいという話が持ち込まれ、国際標準規格を一緒に作成した経緯を報告した。しかし完成した矢先、米国が法律を改正し模倣品対策強化を自国主導で行うことを、今年1月オバマ大統領の一般教書演説で明示されたことを説明。半導体業界以外の産業にも影響を及ぼす形となっている。


 半導体業界でこれまで国内主導の国際標準規格にかかわり、かつ今回明示された米国主導の模倣品対策規格「ISOTC247」の国内対策委員会委員長を務める伊賀洋一氏は「全産業に影響力がある以上、日本でも国内企業が一丸となって、このTC247に取り組んでいくほかはない」と強調。あくまで志のある企業が手を挙げて参加し、勉強しながら統一基準を模索していく試みとなるが「各業界の意見をできるだけ反映して共にスタンダードを作っていきたい」と意気込みを語った。

ISOTC247国内審議化委員会委員長 伊賀洋一氏   農林水産省生産局課長補佐 森幸子氏
ISOTC247国内審議化委員会委員長 伊賀洋一氏   農林水産省生産局課長補佐 森幸子氏

農産物の模倣品対策


 こうした半導体業界の模倣品対策以外にも、農業分野における産地偽装対策について講演が行われた。


 農林水産省生産局課長補佐の森幸子氏は同省が行っている「食品のトレーサビリティ」について解説。「食品のトレーサビリティ」とは食品にかかわる事業者がそれぞれ食品の入荷先、出荷先の記録をつけることで、食品の生産から消費までの移動を把握することができるようにする仕組みのことだ。例えば、「米」のトレーサビリティでは、米と米加工品の移動ルートを把握できるようにしている。具体的には食品にかかわる事業者に対して「いつ、誰から(誰に)、何を、どれだけ」入荷・出荷が行われたかを伝票に表記し、保存することを法律で義務付けている。


 また政府は「米」のほかに「牛」についてもトレーサビリティの確保を法律で義務付けている。こちらはBSE(牛海綿状脳症)のまん延防止という事情から、牛1体ごとに番号を付け、個体識別番号によって管理することで、安全性を確保している。


 しかし米・牛肉以外の農産物については食品安全基本法などの法律でトレーサビリティの確保が求められているものの「努力義務」になっている。そのため農産物に対して、農薬や肥料など農業生産活動の各工程を記録・保持・点検をすることで食品管理を行い消費者の安全性を確保していこうという取り組みが「農業生産工程管理」(GAP:Good Agricultural Practice)だ。GAPによって、食品の川上から川下までの流れをきちんと把握し、産地偽装対策を行っていくことが狙いとなる。


日本GAP協会の取り組み


 このGAPについて実際に普及を行っている団体が、農産物の安全確保に関する専門機関「日本GAP協会」だ。日本GAP協会の専務理事である武田泰明氏によると、GAPが取り組まれている背景には農家自身の安全性が大きく関係しているという。


 例えば、中国産のごぼうを国産として偽装、流通させるなどの事件がこれまでも起きていたという。そのほかにも野菜・果実には、大きさ・形・表面・単価など、個体管理が求められるうえに「記帳など農家の管理が徹底されていない」といった問題があるからだ。


 こうした問題を改善するために、日本GAP協会では120を超える農場のチェック項目を定めて、農薬の管理や肥料の管理といった明確な基準を定義。この基準をクリアした農場や生産者団体に「JGAP認証登録番号」を与えることで、消費者やバイヤーに、その農場や生産者団体が安全であることを保証している。また消費者やバイヤーもインターネットで登録番号を調べることで、農場の情報を確認することができる。


 日本GAP協会では農場の管理を“見える化”することによって食の安全を確保する取り組みをより多くの農場・生産者団体に広げ、消費者の信頼を得られるよう努めていく構えだ。


 今回のシンポジウムは、JIPDECが中心になって取り組んできた半導体業界に限定せずに、農業の分野にも範囲を広げて、「模倣品」対策に関する講演を行ったことに意義があると感じた。消費者に安心を届けるための“仕組み”を認知していくためにもこうしたシンポジウムの開催を今後も希望したい。

(山下雄太郎)

【セミナーデータ】

イベント名
:模倣品対策国際シンポジウム
主催   
:JIPDEC(日本情報経済社会推進協会)
開催日  
:2012年9月10日
開催場所 
:六本木ファーストビル(東京都港区)

【関連カテゴリ】

情報セキュリティ