セミナーレポート

活用広がるスマートフォン、セキュリティは?

情報処理学会・連続セミナー4回目が開催される

2012/1/19

 モバイル端末向けのOS「Android」がリリースされてからすでに5年近く経つ。この間、OSは違えどもiPhoneがけん引役となってスマートフォンは急速に普及した。

 2011年12月22日に開かれた情報処理学会の「連続セミナー2011」では、 世界中で100人に3人が利用すると言われているAndroidとそのセキュリティ、そしてカーナビ機能を付加した機器開発など、スマートフォンにまつわる様々な話題が提供された。

カラオケのリモコンなど、様々な場面でAndroidが使われている
(三浦氏のスライドより)
カラオケのリモコンなど、 様々な場面でAndroidが使われている
(三浦氏のスライドより)

様々な場面で利用されるAndroid


 一般社団法人OESF(Open Embedded Software Foundation)の三浦雅孝代表理事によれば、Androidを使用した端末は、世界で1秒間に7台生産されている計算になるという。


 スマートフォンだけに注目が集まるAndroidだが、他のモバイル端末にも利用されている。米国の玩具大手・トイザラスではAndroidを利用した子供向けのタブレット端末を2011年12月から販売。また、洗濯機やオーブンレンジに組み込まれた製品なども開発されている。


 三浦氏は「Windows端末にすると、1台ごとにロイヤリティが発生するため、Androidに切り替えるデバイスが多い」と、Android普及の理由を語った。


 また、クラウドサービスについても三浦氏は指摘した。「『クラウド』を単純にWEBページを作って情報公開することと思っている人がいまだにたくさんいる。そうではなく、クラウドサービスは世界中の客から集めた巨大なデータをマイニング(解析・分析)してサービスをすること」と同氏は強調。例えば、Androidを利用したテレビでは、「リモコンをどう押したか」というデータも収集できる。こうして集めたデータをもとに、個別の視聴者に対してどんなCMを流すのが効果的か、という分析もできるという。

スマートフォンのセキュリティを解説する竹森氏   カーナビとスマートフォンの展望を語る畑野氏
スマートフォンのセキュリティを解説する竹森氏   カーナビとスマートフォンの展望を語る畑野氏

Androidのセキュリティは?


 さて、Android端末、特にスマートフォンで気になるのがセキュリティだが、実際のところはどうなのだろうか?


 「潜在的な怖さはあるものの、大きな事故は起きていない」とするのはKDDI研究所の竹森敬祐氏だ。竹森氏は、スマートフォンを「世界基準の安全性、つまり自己責任の部分が大きい携帯端末」と定義。マルウェア感染については「Androidマーケットではなく、他のマーケットからアプリを購入すると発生することがある」と竹森氏は指摘した。


 主なものでは偽のオンラインバンキング管理アプリにキーロガーが組み込まれていたり、通話音声を記録した後にファイル交換アプリで内容が漏洩したりするものなどがある。マルウェア対策については、Googleが配布するパッチもあるが、スマートフォンの端末自体がカスタマイズされているため、そのまま当てることは難しい。「端末メーカーが責任を持ってパッチを当てるべき」と竹森氏は述べた。


 一方で竹森氏は、マーケットでのアプリ購入に当たってユーザ認証を求められるものの、提供側がどのようにユーザ情報を使用するかどうかについては説明が不十分であることも指摘した。これは、アプリ開発者とアプリを利用したユーザ情報を収集する事業者が別の業者であることが要因の1つになっているという。


 スマートフォンのセキュリティについては「アプリをダウンロードするマーケットで安全を確保すれば、情報漏洩など多くの脅威を取り除くことができる」と述べた竹森氏。スマートフォンは世界市場が先行しているため、セキュリティよりも利便性が先行するという。ユーザ側も確かなマーケットでのアプリをダウンロードすることが望まれる。


カーナビもスマートフォンで


 「スマートフォンにナビゲーションのアプリがあればよい」という講演を行ったのはパイオニアの畑野一良氏だ。スマートフォンの通信を活用すれば、プローブ情報が加わる。プローブとは実際に走っている車1台ごとの走行情報をサーバに蓄積し、リアルタイムで道路状況や渋滞情報が分かるもの。


 これを活用すれば、EV(電気自動車)の充電スポットの混雑状況、充電スポットまでの優先ルートも把握することができる。畑野氏は「ハードを売るカーナビメーカーとしてはスマートフォンの台頭は脅威だが、情報サービスを提供するのはビジネスとして魅力的」として、「行き着くところは、スマートフォンをポケットに入れたまま、ナビ画面がフロントガラスに映るもの」とスマートフォンのカーナビ活用への展望を述べた。


 新興国では、単価が高いにも関わらずスマートフォンが普及しているという。目の前に開けたスマートフォンというグローバル市場では、チャンスもリスクも大きいもの、といえるだろう。

(中西 啓)

【セミナーデータ】

イベント名
:スマートフォンとコンシューマサービスの新たな展開
主催   
:一般社団法人情報処理学会
開催日  
:2011年12月22日
開催場所 
:化学会館(東京都千代田区)

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