セミナーレポート
早大グローバルCOEシンポジウムが開催
レベルの高い博士号取得者の増加目指す
米国のMIT(マサチューセッツ工科大学)のような、人材も設備も世界最高峰の研究拠点を「COE(Center Of Excellence)」という。こうした「COE」を日本でも設立していくため、文部科学省は大学をはじめとした研究拠点へ補助金を交付する「グローバルCOE(GCOE)プログラム」を進めている。
その拠点の1つである早稲田大学で2011年7月1日、「世界で活躍するグローバル人材」として、講演が行われた。研究を担う博士課程の学生をどう育成するかに焦点が当てられた。
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| 博士課程の現状が報告された |
博士課程の就職数が増加
この「グローバルCOEプログラム」の前身は2002年からスタートしている「21世紀COEプログラム」。2007年からは採択拠点を減らして補助金増額する「グローバルCOEプログラム」が始まった。
早稲田大学は2007年に情報・電気・電子分野の拠点として採択された。2011年度が同プログラムの最終年度に当たる。
講演の冒頭では、GCOEプログラム拠点リーダーの後藤敏早稲田大学教授が登壇。後藤氏は「このプログラムで進めた第1の目的は、博士課程の見直し。論文発表数はプログラム前に比べ2倍、学会発表数もプログラムが始まってからは、約2倍になった」と成果を強調した。
多様な人種で学ぶ米国
続いてスタンフォード大学の西義雄教授が「大学院教育と研究体制を考える」と題して講演。西氏は「世界的に少子高齢化の中、大学は構造不況にある」として、スタンフォード大学での学生の教育方法や、教授の採用方法などを紹介した。
スタンフォード大学では1人の学生が複数の教授に付いて学んでも、博士号を取得することができるという。「物理専攻の学生が私の研究室(電気工学)で学んでも単位は取得できる。米国の企業なども、1つの分野だけ習得した学生よりも興味を示す」と西氏は強調した。
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| 博士課程教育のあり方を語る西氏 | パネルディスカッションの様子 |
日本の修士課程から博士課程では、学生は1人の教授につきっきりとなって指導を受ける。西氏は「教授から見れば同じ学生がずっと付いてくれることはありがたい話だと思うが、学生の視野を狭くしている原因になっているのでは」と指摘した。
西氏はスタンフォード大学の教授の採用方法についても紹介。応募はオープンで、大学側は候補者の業績を、それまで在籍していた大学や教え子に手紙を出して評価を得るという。ほかにも「様々な人種の優秀な学生も集めやすくする」(西氏)ため、教授に様々な人種を採用している、と説明した。
「言語の壁を取り払え」
また、授業などで使用する言語についても言及。「ハイテク分野で生きていくにはグローバル化は不可欠。自国語を重んじるフランスといえども、キャンパスでのコミュニケーションは英語で行っている」と西氏は強調した。西氏が筑波大学のプロジェクトに関わった時、使用する言語を英語に統一したところ、研究員の論文数は日本人平均の2倍になったという。
言語についてはパネルディスカッションでも言及された。後藤滋樹早稲田大学教授は「明治時代の旧帝国大学では、フランス人の講師が数学を教える際にフランス語で学び、日本人学生はフランス語で試験に臨んでいた。ドイツ人の講師からも同様にドイツ語で学んでいた」と述べ、当初の高等教育は日本語が使われていなかったことを指摘した。
リコーITソリューションズの國井秀子氏も「きれいな英語をしゃべる必要はない。意思が伝わるという意味で、『国際共通語』としての英語が重要だ」と述べた。國井氏は、コミュニケーションでの英語利用に加え、グローバルリーダーに求められている素質も指摘。「日本のドクター(博士号取得者)は、与えられた問題の解決能力はあるが、企業にとって必要なのは問題を『発見』する能力である」と述べ、ビジョン作りや組織運営を上手に行っていけることが重要であるとした。
日本の高等教育の最終地点ともいえる博士課程が抱える課題は、こうしたシンポジウムに見られるように、改善の兆しは見えてきている。日本が海外に打って出なければならない局面にある今、博士号取得者などの優秀な人材の育成環境づくりもさることながら、大学側のみならず企業側にも人材を海外流出させない施策が必要となっている。
【セミナーデータ】
- イベント名
- :第8回アンビエントGCOE国際シンポジウム
- 主催
- :早稲田大学グローバルCOEプログラム
- 開催日
- :2011年7月1日
- 開催場所
- :早稲田大学西早稲田キャンパス(東京都新宿区)
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