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2015/1/5

住基カード

「マイナンバー」の登場でお役御免だが…

 行政手続きのインターネット申請などに使用する住基カード(住民基本台帳カード)は、2016年1月の「マイナンバー制度」開始に伴い、2015年末で交付終了となる。マイナンバー制度で交付される「個人番号カード」の登場で住基カードはお役御免となるが、住基カードと個人番号カードは「事務の効率化」や「利便性の向上」が目的に掲げられているなど両者には共通点がみられる。そこで今回のキーワード解説は、住基カードが果たしてきたこれまでの仕事ぶりを振り返る。


「住基ネット」の一環で交付開始


 住基カードの交付が始まったのは2003年8月。「住民基本台帳ネットワークシステム」(住基ネット)のサービスの一環だった。住民基本台帳は住民票を編成したもので、市区町村が行う国民健康保険や国民年金等の被保険者資格の確認などの事務処理に活用されている。全国共通の本人確認を可能とするため、1999年に住民基本台帳をネットワーク化する住基ネットが構築された。


 なお、住基ネットへの接続を巡ってはこれまでに、「個人情報保護関連法制度の不備」(横浜市)などから福島県矢祭町や東京都杉並区、同国分寺市、同中野区、同国立市が接続後の離脱や参加見合わせなどを公表している。また、横浜市は「緊急避難的な措置」として、市民の選択制による「住基ネット横浜方式」を実施した。


「利便性向上」謳うも低い交付率


 住基カードは「セキュリティに優れたICカード」(総務省)で、カードの有効期限は発行日から10年間。券面のデザインは、「顔写真付き」と「顔写真なし」の2タイプがあり、公式キャラクターを使用したものなど各自治体により様々だ。


 政府は、住基カードを取得するメリットとして、

  1. 電子証明書による本人確認が必要な行政手続きをインターネットで申請できるようになる
  2. (写真付きカードの場合)金融機関やパスポート申請など本人確認の必要な窓口で公的な身分証明書として利用できる
  3. 市区町村が行う独自サービスを受けることができる
などを挙げている。

 上記の「市区町村が行う独自サービス」は、各市区町村は条例で定めれば住基カードを多目的に利用することができるというもの。具体的な利用例としては、住民票の写しなどの証明書を証明書自動交付機で交付するサービスや、図書館の利用カードとの一元化、公共施設の空き状況の照会・予約などのサービスがみられる。


 一方、このような独自サービスを実施している市区町村は202団体(2013年4月1日現在)。2008年時の143団体、2012年時の185団体と増加が続いているが、それでも全国の市区町村の2割にも満たない状況だ。


 住基カードの交付状況をみても、2014年3月31日現在の累計交付枚数は約834万枚。このうち、有効期限内のカードは約666万枚だが、これを最新の住基台帳に基づいた人口である約1億2843万人(2014年1月1日現在)で割ると約5.2%となる。

住基カードの累計交付枚数 総務省資料を基に作成(クリックすると拡大します)
住基カードの累計交付枚数 総務省資料を基に作成
(クリックすると拡大します)

 交付開始から10年が経過しているが、交付率が5%程度などというありさまで、果たして「利便性の向上、行政事務の効率化に役立つもの」(総務省)と言えるのだろうか。カードの交付には手数料がかかるのが一般的だが、住基カードを普及させるため、各自治体は国の補助金を活用した「無料交付キャンペーン」や、運転免許証を返納した高齢者に住基カードを無料交付する取り組みなどを行ってきた。


 しかし、手数料の「無料」を謳った取り組みを行っても、住基カードは国民の間に十分に広まらなかった。マイナンバー制度で交付する個人番号カードでは、どのような普及策が講じられるのだろうか。

(高橋 慧)

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