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2014/11/20

在宅介護

在宅介護を必要とする背景

 在宅介護とは老化などによって1人で生活することが難しい人を在宅で介護することを指す。現在、日本における高齢化は、非常に大きな問題となっている。厚生労働省の発表によれば、65歳以上の高齢者は、2025年には3657万人となり、2042年にピーク(3878万人)になると予測されている。また、75歳以上の高齢者の全人口に占める割合(高齢化率)も2025年には30%に上昇する見込みだ。


充実が期待される在宅介護


 こうしたなか、在宅介護に関する期待は高まる一方だ。重度の要介護者、認知症の高齢者が増えることを踏まえると、通常の訪問介護やデイサービス(通所介護)などの在宅介護を充実させていくのはもはや必要不可欠となる。


 訪問介護は介護施設サービス提供の介護福祉士やホームヘルパーが入浴を行うもの。一方、デイサービスとは介護施設に入るのとは別に、日帰りで施設に通う等で利用するサービスのこと。施設では入浴、排せつ、食事などの介護を行うのと同時に、健康状態の確認を行うといったものだ。


 またデイサービスのように、介護サービスを提供した施設は市町村から介護報酬の支払いを受ける。こうした介護報酬請求事業所数は2001年度と比べると2012年度は約3.6倍(9726ヶ所から3万5453か所)に増加している。特に増加する小規模のデイサービスが増加しており、地域密着型サービスへの移行も見えている。

介護報酬請求事業所数の推移 出典:厚生労働省(クリックすると拡大します)
介護報酬請求事業所数の推移 出典:厚生労働省
(クリックすると拡大します)

 一方で課題もある。在宅介護サービスが増加しているが、要介護高齢者の在宅生活を24時間支える仕組みが不足している。また介護職員の数も2010年の150万人から、2025年には240万人が必要だとされており、現場職員数の充実も望まれている。


在宅介護の新潮流


 在宅介護において必須となる「地域密着」。この地域密着を照準にした取り組みに新しい兆しが見えている。例えば、小規模多機能型居宅介護。これは通いを中心に訪問や泊まりサービスを提供するといったものだ。福岡県大牟田市ではこれに地域交流施設の併設を義務付け、世代間交流などの事業を行うと同時に、地域の集まり場、茶飲み場を提供。地域交流拠点として機能させている。


 また、民家を回収した小規模な建物で、対象者の限定せずに、身近な場所でデイサービスを目指した富山県発祥の「富山型デイサービス」などの事例も見られ始めている。


 一方、大きな動きとして近年見られるのが、在宅介護の現場にロボットを取り入れようとするもの。転倒検知センサーや外部通信機能を備えたロボットを利用した「認知症患者の見守り」。さらに浴槽に出入りする際の一連の動作をロボットに支援してもらう「入浴支援」もある。このほかにも高齢者などの屋内移動や立ち座りをサポートしてもらう「移動支援」、ベッドから要介護者を移乗する介助者のアシストを行うロボットを使った「移乗介助」など、将来はロボットが在宅介護の分野で活躍する機会が増えそうだ。


 高齢化社会において重要な役割を果たす、在宅介護。医療との連携も視野に入れた在宅医療・介護ネットワークの構築も厚生労働省を中心に進められており、環境の整備が今後待たれる。

(山下雄太郎)

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