特集などに出てきた重要語句を分かりやすく解説
生活支援ロボット
生活支援ロボットの概要
生活支援ロボットとは、家事やリハビリ、介護など、その名の通り人間の生活を支援するロボットのことだ。
現在日本は少子高齢化という大きな課題に直面している。厚生労働省の発表によれば、日本は2015年には65歳以上が人口の26%になると予測されている。この少子高齢化による労働力不足を解消するためにも、生活支援ロボットの活躍が期待されている。
生活支援ロボットはすでに家庭へ導入されている。もっとも有名なのが掃除ロボットの「ルンバ」だろう。MIT(マサチューセッツ工科大学)で人工知能の研究をしていた3人の科学者が起業した「iRobot」社が、地雷を探査するロボット技術を応用して開発。ボタンを押せば部屋の隅々まできれいにし、終了すると充電用のホームベースに戻る手軽さが受け、日本でもヒット。国内の出荷累積台数は2013年10月に100万台を突破している。
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| 掃除ロボット「ルンバ」。国内の出荷累積台数も伸びるなど、いち早く家庭に浸透した生活支援ロボットだ |
また、国内の大手企業も開発に乗り出している。トヨタ自動車は手足の不自由な人の家庭生活を支援するHSR(Human Support Robot)を開発した。このHSRは小型のボディに折り畳み式のアームを備えており、床の上のものをつかんで拾ったり、カーテンを開けるなどの作業ができるロボット。人に触れることを前提に、アームの稼働部分に大きな力が生じないよう、安全面にも配慮したつくりになっている。
安全に向けた取り組み
生活支援ロボットが家庭へのアプローチを強めていく一方で、家庭内でも安全に利用するための検証が進められている。経済産業省や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2009年度から、「生活支援ロボット実用化プロジェクト」を実施。生活支援ロボットの動作に関するデータの収集や分析、安全性技術に関する研究・開発を進めている。
また茨城県つくば市にある「生活支援ロボット安全検証センター」では、生活支援ロボットの機械的強度や安定性などに関する試験が実施されている。ロボットが走行中に転倒しないか検証し、異なる使用環境(傾斜や段差、路面種類など)でロボットを走行させる「走行安定性の検証」。さらに周囲の障害物に衝突したときの損害レベルを確認する「衝突安全性試験」などが行われている。
国際規格の整備も着々と進行中だ。2014年には、生活支援ロボットの安全に関する国際規格ISO13482が発行された。この規格は前述の「生活支援ロボット実用化プロジェクト」で得られた安全性に関する研究の成果を経産省やNEDOなどがISO(国際標準化機構)に提案し、採用されたもの。経済産業省はこの国際標準を取得できる国内の体制整備を2014年度中に完了するよう取り組んでいる。
国内の生活支援ロボットでは、サイバーダインが開発した歩行支援ロボット「HAL福祉用」がISO13482の原案版を世界で初めて取得した。
今後の展開
2014年2月にはパナソニックが発売した車椅子・ベッド一体型の介護支援機器「リショーネ」、また物流に関するソリューションを展開する企業・ダイフクが開発した「エリア管理システム」がISO13482を世界で初めて取得している。
このISOによる国際安全規格に日本の基準がそのまま採用されたのは、経産省などがISOに働きかけたことのほかに、サイバーダインなど日本のベンチャー企業が躍進したことも大きな要因だろう。サイバーダインはドイツで公的な医療機関事業パートナーとして選出された。現地で脳卒中などの患者の治療を目指した会社を設立するなど、積極的に動いている。
海外からも引き合いがあるなど、国産の生活支援ロボットの注目度は高まっており、今後の動きが見逃せない。
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