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2014/4/21

RFID

RFIDとは

 RFID(Radio Frequency IDentifications)とは、電波を使って半導体メモリのデータを読み書きするシステムの総称だ。半導体メモリのタグに入っているデータのやり取りは、読み書き側(リーダー・ライター)がタグへ電波と電力を送出して情報を読み取る「パッシブ型」と、タグ自体に電源があり、電波を発信する「アクティブ型」がある。


 タグについては「ICタグ」「RFIDタグ」等の呼び方があるが、ここではJIS規格(JIS X 0500)で使われている「RFタグ」を使用する。無線を利用したデータのやり取りなので、JR東日本が発行している「Suica」などの非接触ICカードも、広義にはRFIDに含まれる。

RFIDは2000年代に飛躍的発展を遂げた(2013年の自動認識総合展より)
RFIDは2000年代に飛躍的発展を遂げた(2013年の自動認識総合展より)

1980年代から始まったRFIDの歴史


 RFIDは、1980年頃から欧米や日本で研究が行われ始めた。当時は「データキャリア」と呼ばれ、自動認識技術の製品化に向けた開発が各社で取り組まれた。1987年には、任意団体のエーアイエムジャパン(現、一般社団法人・日本自動認識システム協会)の主催で、自動認識関連製品の展示会「第1回SCAN-TECH JAPAN」が開催された。


 ただ、タグにバッテリーが必要であったり、タグ1個当たりの価格が1000円と高額だったりしたため、1990年代前半は事業化に向けた開発は一時的に停滞。RFIDの導入はバーコードなどの読み取りが不可能な自動車エンジンの加工管理などの分野に限られていた。


 RFIDが再び注目を集めたのは1990年代後半から。半導体技術の向上でタグについていたバッテリーが不要になり、小型化が進んだためだ。また、データの読み取り方法も、リーダーがタグに電力と電波を発する「パッシブ型」が大半を占めるようになる。価格も1個当たり100円まで下落した。


 技術的な進展以外にも、国際標準化団体のISOとIECがRFIDの標準化に共同で取り組んだことも大きい。日本では2002年に電波法が改正され、電波の出力規制などが緩和された。2001年のBSE(牛海綿状脳症)をきっかけとした「食のトレーサビリティ(追跡可能性)」という社会的なニーズも、RFIDの普及を後押しした。現在のRFタグ価格は1個当たり20円弱である。


RFIDの今後


 複数のタグを一括で読み取ることができるRFタグは、物流において棚卸の作業軽減、製品管理など万能性を発揮しているが、課題はまだある。タグをつけた商品の中にアルミなどの金属があると、リーダーが正確に読み取れなくなってしまう。また、タグがバッテリーを持って電波を発する「アクティブ型」は、1個当たり数千円程度のコストがかかる。通信範囲は60メートル以上の製品もあるが、大量普及には価格がネックとなっている。


 ただ、アクティブ型は、体温センサーを内蔵したリストバンドを用いることで、病院での患者の体調管理への活用も期待されている。60メートル以上という通信性能を活かして、扉の設置が難しい倉庫の出入り口などで、許可のない人物の立ち入りを制限することも可能だ。バーコードやQRコードの代替物として、価格の面に注目が行きがちなRFIDだが、今後は「高付加価値化」を売りにするサービスも出てくるものと思われる。

(中西 啓)

注釈

*:通信範囲は60メートル以上
パッシブ型のRFタグの通信距離は、1~2メートル程度である。

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