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2014/3/27

ヘッドアップディスプレイ

ヘッドアップディスプレイの概要

 ヘッドアップディスプレイ(HUD)とは、透明な素子などに情報を投影することで外界を見ている通常の視界内に情報を投影する仕組みのこと。よそ見ができない操縦・運転などの分野で主に用いられている。


 グーグルグラスに代表される透過型のヘッドマウントディスプレイと似ており、頭に乗せるサイズのもの(ヘルメットやメガネなど)がヘッドマウント、眼の前の透明なディスプレイに投影する(装置を取り付けている)のがHUDとなる。

透過型のヘッドマウントディスプレイ(資料:首都大学東京 池井寧研究室)   ヘッドアップディスプレイ。視野に情報を重ねて表示している(パイオニアプラザ銀座より)
透過型のヘッドマウントディスプレイ(資料:首都大学東京 池井寧研究室)   ヘッドアップディスプレイ。視野に情報を重ねて表示している(パイオニアプラザ銀座より)

ヘッドアップディスプレイの開発と普及


 HUDの開発は、第2次世界大戦以前の軍用から始まっている。最も初期型と言えるものは、戦闘機に搭載されていた「光像式照準器」だ。風防の前にハーフミラーを置き、そこを通して見ると円状や十字の照準が敵機の上が張り付いているように見える仕組みになっている。照準は、搭乗している戦闘機の速度や、弾速などから着弾地点を計算して投影する工夫もされている。視界に画像を載せる、いわゆる拡張現実(Augmented Reality、AR)の走りとも言えるかもしれない。


 戦後、照準器はレーザーを使ったものなどに進化していく。現在の、いわゆるHUDと呼ばれるものが戦闘機に搭載されるようになったのは1960年代のベトナム戦争以降。単純に照準だけではなく、計器類の数字を映し出すことも可能になった。コクピット前にある風防に様々な情報を映し出すことで、「戦闘中に視線を逸らして情報を確認する」リスクを軽減している。


 実際の戦闘中には、様々な角度を見る必要があるため、近年はヘッドマウントディスプレイに移りつつあるという。HUDは、投影された方向(=通常は前面)にしか情報を映し出すことができないが、ヘッドマウンドディスプレイは顔の向きと画像を投影する方向が常に一致するためだ。ヘルメット型故に、高速移動中に首へかかる負担などの課題があるが、今後この流れは変わらないだろう。HUDの主戦場は民生品がメインになりつつある。


自動車市場でのヘッドアップディスプレイ


 民生用におけるヘッドアップディスプレイの市場は、現在、自動車が主である。1990年代後半に研究がすすめられ、2000年代頃から徐々に搭載されるようになった。カーナビや速度を確認するために正面から目をそらすというリスクを減らすことは、自動車の運転においても大きい意味がある。単純に映し出すだけではなく、目が風景と焦点を合わせるコンマ数秒のストレスを軽減するように、数メートル先に映像が映っているように見える工夫もされている。


 民生品ゆえに、直接の運転とは関係のないエンターテイメントの情報などを映し出すことも検討されている。また、戦闘機と異なり、横に照準を合わせる必要もなく、装着の手間なども考えると同分野へのヘッドマウンドディスプレイの参入も早急には考えにくい。そのため、特集でも触れているが、今後はカーナビや計器類の情報のみならず車内で再生する音楽の情報など、新たなディスプレイを巡った「場所」の奪い合いが始まると予想される。

(井上宇紀)

「ヘッドアップディスプレイが出てきた記事

「巨大スマホ」化するクルマ(2014/3/24)

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