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2014/2/27

オープンデータ

概要

 オープンデータとは著作権や特許などの他社が持つ権利による制約がなく、どのような個人・組織であっても再利用・再加工・再配布が可能な状態にされたデータのことだ。

 大学や研究機関が、論文や研究データを公開するという取り組みはかなり古くから存在していた。それまで、あるデータをほかの研究者が自分の論文に引用する場合、著作者に直接許諾をとることなどが経済的・時間的な大きな負担がかかっていた。それを劇的に変えたのが、インターネットである。


 1990年後半には研究者の許諾を得た学術情報や論文がインターネット上に公開された。インターネットを使うことで、誰でも、手軽に、無料で閲覧することができる状態になった。統計情報のような純粋なデータ以外にも、写真や文章など、様々なものを研究者に対して公開し、その利用を促すことによって、より高度な論文や研究データができるといったケースが多くみられるようになった。

 その後、政府が積極的に取り組んできたことにより、オープンデータという言葉が一般化するようになった。EUでは2003年に欧州議会が取り決めた「公共セクター情報再利用指令」によって、政府や自治体が保有するデータを無料にし、誰でも使いやすい形で公開している。

 オープンデータの取り組みが最も進んだのは米国。オバマ大統領の就任時に、政権の公約だった「情報公開とオープンガバメント(政府を国民に開かれたものにしていく取り組み)」を進めていくことを発表。このときオバマ氏は「政府の活動の情報を市民にわかりやすく公表(透明性)」「行政の政策決定に市民の意見を幅広く取り入れる(市民参加)」「政府と官民の連携(コラボレーション)」の3つの方針を柱に据えた。

 背景にはグローバル化によって、国の施策に様々な人種の意見を幅広く取り入れる必要があったことなどがある。その施策の1つとしてオープンデータを推進。オバマ政権はWEB上で誰でも読み取れ、機械判読しやすいテキストデータやCSVデータでの情報開示に力を入れた。

 オープンデータの施策の1つとして2009年5月に開設されたのが、米国連邦政府のWEBサイトである「DATA.GOV」だ。連邦行政機関が大気汚染や自動車の安全性、犯罪・教育・労働市場など様々な分野の機械判読が可能なデータを公開。これらのデータの民間企業や個人への活用を促すきっかけとなった。

 DATA.GOVは単に位置情報や統計データの集計結果を公表しているだけでなく、様々な形式(CSV、XMLなど)で公開され、複数のデータと統合して使うこともできる。こうした便利さが、利用者が活用するようになった理由だ。

 政府のこうした取り組みに対し、州政府も反応。ワシントン州政府は2009年冬にオープンデータを利用したアプリケーション開発コンテストを実施。賞金2万ドルを、47の団体で争うなど展開。観光ツアーのプランを作成できるアプリケーションが優勝作品となった。こうして米国内でも自治体レベルでのオープンデータに関する取り組みが活発化する。


日本政府の取り組み


 一方、日本でオープンデータの勢いが加速したのは東日本大震災以降。政府が公表した電力消費量などのデータが、ユーザにとって難解だったため、ユーザが自分たちで情報を使いやすくしようとしたことがきっかけだ

 政府もこの経緯をふまえ、2012年7月にオープンデータの活用促進に取り組む方針として、「電子行政オープンデータ戦略」を策定。政府が積極的に公共データを、機械判読が可能な形で公開していくことを明言。取り組みやすい公共データから速やかに着手していくとした。

 2012年12月には、内閣官房や総務省、経済産業省が主体となり、官民による実務者会議を設置。今後は自由な2次利用を認める利用規約を導入や機械判読に適した国際標準データ形式の導入を視野に入れて施策を進めていく方針だ。


活発化する自治体の取り組み


 また日本の自治体でも「データシティ鯖江」(福井県鯖江市)のようにオープンデータを提供する事例が増えるようになってきた。鯖江市は政府がオープンデータの指針を決める前から、避難所やAED、トイレ、位置情報を用いた民間による避難マップの公開などWEB上で情報を開示。

オープンデータを活用して作られた公共トイレの情報に関するアプリが鯖江市のHPに掲載されている(イラストはイメージ)
オープンデータを活用して作られた公共トイレの情報に関するアプリが鯖江市のHPに掲載されている(イラストはイメージ)

 2012年には政府が「電子行政オープンデータ戦略」で地方自治体の好事例として取り上げたことから、情報公開に関する積極的な取り組みを市がPRしている。2012年11月にはオープンデータに関する「オープンデータガバメントin鯖江」を開催。企業や省庁の関係者が多く参加する運びとなった。鯖江市はオープンデータを積極活用しながら、地域活性化に取り組むことを宣言した初めての市となっている。

 

 直近の事例では、千葉市が2013年4月に熊谷俊人市長を会長に据え、オープンデータの利活用を目的としたデータ活用協議会をスタート。2013年11月中旬にはオープンデータを利用したアイデアコンテストを行った。ここでは小学校や幼稚園のオープンデータを使い、欠席者の人数に応じた円グラフを地図上に表示をするといったアイデアが優勝している。

 一方、政府自身でも、公共データの活用を促すためのコンテストを開催。オープンデータ化した公共データを活用するアプリケーションを開発する「オープンデータ・アプリコンテスト」の開催を行っている。

 政府が取り組むオープンデータ。自治体レベルでも活用が活発化しており、これからの動向に注目が集まっている。

(山下雄太郎)

「オープンデータ」が出てきた記事

活用の場が広がるG空間情報(2013/12/24)

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