キーワード解説

特集などに出てきた重要語句を分かりやすく解説

2014/1/30

ITリテラシー

概要

 ITリテラシーとは、情報機器を操作する基礎的な知識、広くは情報全般の活用に関する知識を指す。前者は「コンピュータリテラシー」、後者では「情報リテラシー」などの様々な呼び方もある。また、ネットワークを利用する上での常識やマナー、倫理観などが含まれる場合もある。

 

ITリテラシー教育の歴史


 日本国内で最初にITリテラシーについて言及したのは、1984年に設置された臨時教育審議会と言われている。臨時教育審議会には、ITリテラシーおける著名人も名を連ねており、例えば1986年に行われた第二次答申では、初等・中等教育において情報を活用するための能力育成や、高等教育・学術研究の拡充やシステムの整備などが訴えられている。

 1990年代に入ると、文部科学省や全国学校図書館協議会などで、情報技術と情報に関する教育についての取り組みが進められるようになる。しかし、急速に広がるインターネットやPC利用に対して、学校などにおける教育は遅れがちであった。

 2000年代に入ると、若年層でのインターネット利用が広がった影響で、携帯電話の利用シーンやフィルタリングなど、情報の活用というよりは、子どもが犯罪に巻き込まれないようにするための防衛手段という文脈で散見するようになる。

 2009年には「青少年インターネット環境整備法」が成立。これは、青少年に悪影響を与える可能性があるが違法ではない情報「有害情報」について、フィルタリングを提供するという法律だ。しかし、利用者である児童の発育を考慮せず、一方的にフィルタリングを受け入れさせて情報を遮断することは、インターネットリテラシーの育成を阻害する要因にもなりかねない。そのため、IT利用の規制と、ITリテラシー教育をどう両立するかについても議論が起こっている。

学校教育でITリテラシーがどこまで磨けるか、未知数だ(写真はイメージです)
学校教育でITリテラシーがどこまで磨けるか、未知数だ
(写真はイメージです)

現代のITリテラシー事情


 技術的には防衛がほぼ不可能な、例えばSNSを経由した犯罪自慢や情報流出などは、ITリテラシーを高めることによって予防できる。このように、近年におけるITリテラシーの立ち位置は、犯罪などに巻き込まれない、犯罪被害を受けない、あるいは有害サイトから有害な情報を入手しないという個人の防衛的な側面が強い。

 特にスマートフォンの普及やSNSの利用拡大で、これまでニッチな層に使われてきたITが、幅広い層で使われるようになると、ITリテラシーの差も極端に表出するようになった。こうした現状はネットスラングの「情強(=情報強者)、情弱(=情報弱者)」などという言葉にも表れているが「情弱」の端末がウイルスなどに感染すると、踏み台とされ「情強」の端末まで攻撃されてしまうこともある。

 また企業などの組織に入った際には、所属する組織全体の情報の取り扱いまで範囲が拡大する。そのため、企業内でもITリテラシーについて教育を施す場合が多々ある。ユーザIDやパスワード管理、情報の扱い方に関する教育は、内部や元内部の者による悪意的な情報流出を防ぐためにも役に立つ。

 実際には「パスワードを共有しない」「辞めた社員のIDを停止する」など基本的な事項も達成していない企業も多いという。情報漏洩被害の大半は、こうした杜撰な管理だというデータもあるため、基礎的なITリテラシー教育を行きわたらせることは、組織を守る上で今後の課題だろう。

 

ITリテラシーの今後

 

 ITリテラシーの普及は、防衛的な側面だけではなく、ITインフラのコストを下げる効果もある。増大するネットワークインフラに対応するため通信速度も日々上がっているが、通信速度に合わせて大容量のデータを送受信するようでは、結局いたちごっこになってしまう。データを圧縮して送信するなど、利用者全体で工夫を凝らすようにすれば、インフラに対する負担を減らすこともできる。また倫理観から適切に利用するように誘導すれば、利用に際する厳密なルールを策定する必要もなく、自由度の高い運用も可能になる。

 倫理観という概念が強い日本に於いて、ITリテラシーを普及させることは利点も強い。ところが、こうした重要な位置にあるはずのITリテラシーは現在においても行き届いた教育がされていないのが現状だ。ITリテラシーの教育が、日本全体が今後、成長していく鍵の1つとなるだろう。

(井上宇紀)

【関連カテゴリ】

情報セキュリティ