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2013/8/29

GIS

概要

 GISとは、地理情報システム(Geographic Information System)を指す。地図情報や地図上の位置をとっかかりに様々な情報を付加したものを、コンピュータ上で製作し、保存や利活用をしやすくしたシステムのこと。付加されている情報は、地質や建造物、自然環境、地名、都市計画など多岐にわたり、元来の軍事的な利用から、カーナビや防災、マーケティングなど幅広い利用方法が考えられている。


歴史


 1960年代にカナダで開発されたシステムが、世界で最初のGISと言われる。日本においては1970年代から研究そのものは行われていたが、本格的に取り組みが始まったのは1995年の阪神・淡路大震災から。阪神・淡路大震災は多くの犠牲者を出したが、GISと個人の位置情報などの結びつけが整備されていれば、あるいは相当数の救助が可能だったかもしれない。こうした反省を基に、GISへの取り組みは本格化していく。


 震災直後の1995年1月にGISに関する研究を行っている地理情報システム学会は「空間データの社会基盤整備に関する提言書」を発表し、空間データの社会的な役割について説いている。政府側も同年9月に「地理情報システム関係省庁連絡会議」を設置し、各省庁における取り組みや課題などについて検討を開始。1996年12月には「国土空間データ基盤の整備及びGISの普及の促進に関する長期計画」として、国土基盤データの基盤作成、空間データの活用方法、社会的な意義や、その後6年にわたる活用に向けた具体的な方針・方法などを発表している。阪神・淡路大震災における建物の倒壊状況や被災状況に関するデータも収集が進められた。


 2002年になるとe-Japan計画が発表されたため、GISとITの連携がより重視されるようになり、効率化と質の向上が図られる。さらに2007年になると「地理空間情報活用基本法」が制定され、より明確にGISの推進が図られるようになる。同法ではもう1点、準天頂衛星による測位システムの推進についても言及されている。

GISに関わる動き
地図に関わる事業だけに政府を中心に進められている

現在と今後の展開


 国土地理院では2万5000分の1の日本全国地図を保有しており、これがいわゆる基盤データとなっている。基盤データは紙の地図データをスキャンしただけのいわゆる「ラスターデータ」ではなく、建造物の位置情報や座標、曲線具合などを数値化して保存された「ベクターデータ」である。このため数値にさらに情報を加えたりすることで簡単に地図データに様々な付加データを重ね合わせたり、修正・変更することができる。


 GISはその由来からも防災現場での活用が最大の目的として語られているが、その一方で個人情報保護の観点から単純に「位置情報を提供すれば解決」ともいかず、議論が続けられている。また国単位ではもちろん地方自治体単位での防災での活用も進められている。例えば航空レーザーを使った傾斜の分析結果を、地図データを重ね合わせることにより、土砂崩れの可能性などをあらかじめ考慮しておくことができる。


 また国勢調査の統計データと地図データを組み合わせた「G-Census」は、地図の塗り分けや、人口ピラミッドの描写などが簡単に行える「教育用」のシステム。GISの促進により、こうした付加データと地図データの連携で様々なことができるようになる。現在は総務省を中心に「G空間(=地理空間)情報」の活用に関して会議が重ねられており、民間レベルにおける活用方法なども模索されている。

(井上宇紀)

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