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2013/6/10

電子マネー

概要

 電子マネーとは、実質的に貨幣の替わりに、IT技術を駆使することでデジタル情報のやり取りで決済などを行うことができるサービス、あるいはサービスに使われる仮想的な貨幣のことである。


 かねてよりクレジットカードなどは、店頭でデジタル処理を行う決済が行われていたが、一般的に電子マネーとして言われた場合には、ウェブマネー社などが始めたインターネット上での決済のみに使われる仮想マネーや、Suicaなどに代表されるICカードなどの非接触通信機能を持ったカードによる小売店での決済を行えるサービスを指す場合が多い。


歴史


 1990年代の半ばになるとインターネットの隆盛によりネット上での決済が行われるようになった。インターネット購入に関する金銭のやり取りには、振り込み用紙を郵送し振り込み確認後に商品を郵送する、あるいは商品と共に振り込み用紙を郵送する、直接指定された口座に振り込む、カード番号を伝えるなど…手間がかかったり、リスクが高かったりする手段で決済が行われていた。


 こういったやりとりを、より早く、安全なものとするために、1990年代後半になると、インターネット上での決済方法として仮想マネーによる、電子マネーサービスが開始された。あらかじめ代金を払って仮想マネーを購入し、仮想マネーに設定された暗証番号を入力することで代金が支払えるというもの。現在も複数の企業から出されており、WebMoney(株式会社ウェブマネー)、BitCash(ビットキャッシュ株式会社)などがある。


 もう1つ頻繁に利用されている電子マネーが、2000年代前半より登場した非接触型のICカード技術を用いたものだ。いわゆる仮想マネーと異なり、実店舗や自販機などでの利用を主とした決済手段になっている。特集でも紹介したSuica、nanacoなどがそれに当たる。

主なICカード式の電子マネー
電子マネーの由来も異なるため、使える範囲も異なる

 全てのレジに読みとりのための機材を導入したり、全システムを電子マネー用に調整するなど、莫大なインフラ投資が必要なため、気軽に参入できる業界ではない。しかし、すでにインフラや流通を押さえている企業が、自らの傘下への導入を促進したり、あるいは近隣業界で統合し、利用者に対しての利便性を図ることで裾野は徐々にだが広がっている。


資金決済法


 2000年に成立した「前払式証票の規制等に関する法律」により、プリペイドカードやICカード型に関する規定・規制が定められた。さらに2009年に「資金決済に関する法律」通称、資金決済法が成立する(前払式証票の規制等に関する法律は廃止)と、サーバで管理している電子マネー、つまり仮想マネーやオンラインゲームで使われるゲーム内通貨やコインなども規制の対象となった。


 仮想マネーやプリペイドカードは「マネー」や「貨幣」などと名前がついているサービスもあるが、当然日本銀行が発行している貨幣ではなく、いわゆる「商品券」と同じものに当たる。そのため、あらかじめ電子マネーを発行している企業に支払った額は、企業が存続している間しか有効ではない。そこで資金決済法では、供託金を銀行に積むことなどを定め、利用者保護を促進している。


現在とこれから


 現在の課題としては、利用店舗にばらつきがあること。各社ともに自社傘下への普及は進めており全国展開している店などでは相互利用も可能になっているが、そもそも街中で使うことができない店舗が大半だ。現在利用できる店舗数ではSuicaなどの交通系カードによる相互利用が可能になり全国20万店舗で可能になったが、同じように決済に使われるカード「クレジットカード」の利用可能店舗数は数百万店舗規模、取引額も10倍以上の差がある。


 今後、ICカードを中心とした決済手段の業界を拡大していくためには、これらの障壁を払しょくすることが課題となってくるだろう。

(井上宇紀)

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