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2013/4/22

DiTT

概要

 DiTT(Association of Digital Textbook & Teaching:デジタル教科書教材協議会)とは全ての小中学生がデジタル教科書・教材を持つ環境を実現するという目的で設立された団体。2011年5月の設立準備委員会、同年7月の設立総会を経て発足した。会員数は2013年4月で102社となっている。

 設立の背景には、2009年に民主党・原口一博総務大臣(当時)が出した「あらゆる分野にICTの利活用促進を徹底する」という提言(原口ビジョン)や、iPadに代表されるようなタブレットPCの普及、さらにPISA (OECDの学習到達度調査)の調査結果で日本の子どもの学力低下が問題視され、それまでの日本の教育が見直されたことが挙げられる。

 また、韓国がデジタル教科書を2013年に全面配布する方針を決めるなど、諸外国が行っている「教育の情報化」に対し、「世界の動きに乗り遅れないようにする」という側面もある。

教育の情報化に出遅れた日本 出典:DiTT(クリックすると拡大します)
教育の情報化に出遅れた日本 出典:DiTT
(クリックすると拡大します)

 DiTTは、教科書会社をはじめ、情報機器メーカーやソフトウェア企業、出版社や新聞社など、さまざまな分野の企業で構成されている。主に取り組んでいることとして、デジタル教科書・教材の開発、課題解決にむけた政策の提言、総務省・文部科学省が行う実証実験のサポートなどが挙げられる。


実証研究や法改正への取り組み


 これまで行われた実証研究では、タブレットやデジタル教科書を用いた授業を行うことで、子どもの「やる気」「学力」の向上に加えて、学び合いによるコミュニケーション能力の向上が実証されている。DiTT副会長の中村伊知哉氏はこれからのデジタル教科書の役割について「子どもの創造力・表現力を引き上げることが必要となる」としている。

 ただ、現状の学校教育法では紙の教科書しか「正規の教科書」として認めていない。これについては2012年5月末の閣議決定によって法改正を検討することが決まったものの、約1年経過した現在も検討すら始まっていない。そのためDiTTが政府に対して法改正を積極的に働きかけている段階だ。


今後の見通しと課題


 また、DiTTでは「2015 ACTION PLAN」を定義している。これは2015年までに小学校1年生から中学校3年生まで全教科のデジタル教材の開発や、全ての小中学生にタブレットなどの情報端末を配布することについて提言したものだ。そのほか教室内の無線LAN整備率100%も目標に掲げている。中村氏は特にブロードバンド環境について「教室外」も視野に入れた整備が最終的に必要不可欠だとしている。これにはネッワーク整備を目的とした大規模な設備投資が相当必要となるものの、中村氏は「子どもがタブレットを持ち帰ることで、教室だけでなく家でも学習できるようにすることが1つの理想」としている。

 児童・生徒1人1台のタブレット配布やデジタル教科書普及、学校教育法の法改正のみならず、学校・家庭間におけるネットワーク環境の整備までも視野に入れた活動が期待される。今後のDiTTの取り組みが学校のICT活用とデジタル教科書普及のカギを握る。

(山下雄太郎)

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