キーワード解説

特集などに出てきた重要語句を分かりやすく解説

2013/3/14

化学電池

概要

 発電をするための装置の内、火力発電などで使われるタービンのような動的な部分がなく、エネルギーを直接的に電気に変える装置のことを「電池」と呼ぶ。そのうち、物理的なエネルギーをそのまま電気エネルギーに変換する方式を「物理電池」、化学反応で起きる電子の流れなどで発生する電流を電力として利用する電池を「化学電池」と呼ぶ。


 「電池」という言葉で一般的に想像される、金属製の、化学反応を用いた電池が「化学電池(乾電池)」である。


歴史


 18世紀、イタリアの解剖学者ルイージ・ガルバーニは「解剖したカエルの足の神経を接続した銅製のフックを、鉄の柵にかけると足が痙攣を始める」ということを偶然、発見する。この現象に興味を持ったガルバーニは、実験を重ね「カエルの足には電気が蓄えられている」と結論付けた論文を発表した。


 ところがガルバーニの発表からまもなく、同じくイタリアの電気学者アレッサンドロ・ボルタが、ガルバーニの発表内容を覆す論文を発表する。カエルの足の痙攣は「2種の金属を接触させたことで電気が発生し、カエルの神経が刺激されたために起こった」と説明。電池を構成する理論の基礎となる「2種の金属を接触させることで電気が発生する現象」を発見した。ボルタは発見した原理を元に、実際に初期の「電池」を作り上げていった。


 ボルタの発見以降、様々な科学者たちの手によって化学反応を電流に変える「電池」の開発が進められた。初期の電池は金属の反応を起こすために液体を使用していたが、19世紀後半になるとゲル状のものが使われ始め、徐々に液体を使わない現在の「乾電池」へと開発が進められていく。ちなみに、電圧の単位名「ボルト」は、このボルタの名前が由来である。


原理


 一般的に化学電池と呼ばれる電池の原理は、ボルタが発見した理論を元にしている。ボルタが発見した理論の概要は、簡単に説明すると下記の通りになる。


ボルタ電池の原理
ボルタは実際にはこの原理と同じ層を重ねて、強い電流を生み出す電池を開発している

 まず、液体に2種類の導線で結びつけた金属を浸す(一般的には液体=硫酸、金属=銅と亜鉛で説明されることが多い)。すると①左の溶けやすい方の金属(亜鉛)が液体(硫酸)に溶けて電子(=マイナス)が残る。②電子が真ん中の導線を通して右の溶けにくい方の金属(銅)に移動。③電子が液体の水素イオンと結びつき水素原子になる。


 この電子が溶けやすい金属から溶けにくい金属へ移動する過程で電流が発生する。このとき、電子が発生する方がマイナス極、移動先がプラス極になる。


 ボルタの発見した理論を用いた当時の電池には「プラス極となった金属には気泡(水素)がまとわりつき時間経過と共に電流が発生しなくなる」「そもそも液体を使っているため使い勝手が悪い」などの欠点が多数あった。しかし後の技術開発でこのような欠点は1つ1つ改良されていき、ガルバーニの発見から120年の時を経て、現在見ている非常に手軽な電源である「乾電池」へと進化を遂げた。


現在とこれから


 こうして現在、化学電池は様々な形状で製品化されている。大きく分けて一般的な乾電池は「一次電池」、充電が可能な電池は「二次電池」と呼ばれている。特に最古の化学電池である「ボルタ電池」からの最も進化した形とも言える「二次電池」は、いわゆる発電所による発電手段とは異なる電源として、近年熱い視線が向けられている。非常用電源や、太陽光発電など自然エネルギーの蓄積(悪天候時の放出)、自動車の駆動エネルギーをブレーキから回収する、人間の細かい運動や移動など分散したわずかなエネルギーを収集するなど、「エコロジー」を兼ね備えた未来の電源として多数の可能性を秘めている。

(井上宇紀)

【関連カテゴリ】

トレンド