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2013/1/31

電子ペーパー

概要

 電子ペーパーとは文字や画像などのデジタル情報を表示するペーパー状の装置のうち、電気的な仕組みで表示の書き換えを可能としたものを指す。1970年代に米ゼロックス社のバロアルト研究所のニック・シェリドンがGyriconと呼ばれる最初の電子ペーパーを開発した。


 現在タブレットなどに使われている表示する装置は透過型LCD(液晶ディスプレイ)と呼ばれるもので、液晶パネルの背面についたバックライトが液晶パネルを透過することで、画像などを表示する仕組みである。利用者は必然的にバックライトの光を直接目に浴びることとなり、目が疲れやすくなる原因となっている。さらに日光のようにバックライトよりも明るい光がディスプレイに当たると見えにくくなるという欠点も持つ。


 一方で、電子ペーパーはバックライトを必要とせず、太陽光や蛍光灯などの外光を反射して表示する仕組みをもつ。そのため光が直接目にあたらず、液晶よりも目が疲れにくい。


 この電子ペーパーの代表的な表示方法が、マイクロカプセル型電気泳動方式(EPD:Electrophoretic Display)と呼ばれるものだ。透明なマイクロカプセルの中に帯電した白と黒の粒子があり、電圧をかけることによって、プラスの電極をかけたところには黒い粒子が、反対にマイナスのところには白い粒子が引き寄せられることで、文字が浮かびあがる。マイクロカプセルの中で表示された粒子は電圧を切っても動かない。こうした機構から、電子ペーパーは1度表示された画像の保持には電力を必要としないのも、電気的な表示の装置の中では特に大きな特長の1つと言える。

マイクロカプセル型電気泳動方式のしくみ 出典:凸版印刷株式会社(クリックすると拡大します)
マイクロカプセル型電気泳動方式のしくみ 出典:凸版印刷株式会社
(クリックすると拡大します)

これまでの経緯


 このEPDだが、実は松下電器(現パナソニック)に所属する太田勲夫氏によって1960年代に開発されているため、日本発という経緯を持つ。しかし1973年にシャープがLCDを電卓に採用すると、瞬く間にLCDが市場を席巻してしまった。当時のEPDは稼働するには高い電圧を必要としたため小型化が難しく携帯するような製品には採用できなかった。そのためEPDは有効な市場を獲得できず、1977年、松下電器はEPDの開発を中止。LCDの開発に専念せざるを得なくなる。


 ただ、当時採用されていたLCDは反射型LCDとよばれるもので、バックライトを用いず、外部の光を液晶パネルの背にある反射板で光を反射させて画像が見えるといったものだった。しかも当時は外光の反射率が50%程度であり、約90%となる白い和紙などと比べると非常に低い。そのため、ディスプレイ自体が暗くなり、目が疲れるという弱点があった。そこでキヤノン、米国のIBMなどが再びEPDについて研究するなど注目を集め、電子ペーパー大手・EInk社が1997年に米国で設立する経緯となった。


今後の展開


 さらに2007年にはアマゾンがEPDを採用したkindleを発売する。その後もEPDを採用した電子書籍端末が増えたため電子ペーパー市場が一気に拡大。EInk社やAU Opronics(AUO)のような台湾企業による企業買収も活発化する。例えばAUOは2009年に独自の電子ペーパーに関する技術をもつ米国企業SiPix Imagingを買収している。またEInk社は強固な連携を形成し、日本企業でも凸版印刷と連携を強めるなど、影響力を強めている。


 日本でも、電子ペーパーの開発を推進するため、2010年度からNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の主導のもと「次世代プリンテッドエレクトロニクス材料・プロセス基盤技術開発プロジェクト」が開始。一方、米国や欧州でも活発な研究開発に対する投資がされており、大学との産学連携も多く行われるようになっている。

(山下雄太郎)

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