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2012/12/20

先進医療

概要

 先進医療とは、一定の治療効果があると国が認めたものに限り、保険診療との併用を認める治療のこと。診察や検査、入院等の医療費は保険が適用され、先進医療部分は全額自己負担という形になる。


 先進医療となっている陽子線治療を例にとれば、陽子線治療のうち、先進医療部分となっている陽子線治療部分の金額が約288万円で、これは全額患者が支払う。そのほかのがんの検査や診察等については医療費の3割を患者が支払うことになる。


 自由診療の場合、診察を含めたすべての医療行為について保険が適用されず、全額が自己負担となる。


経緯


 先進医療の歴史は約30年前の1984年、健康保険法が改正されて「特定療養費制度」がスタートしたことに始まる。この制度の中で「高度先進医療」として、自由診療から保険治療との併用が可能になった。特定療養費制度には「差額ベッド」なども含まれていたが、徐々に項目が増えていく中で「画期的な治療方法」と「患者の好みで選ぶもの」の線引きがあいまいになってきた。


 このため特定療養費制度は2006年の健康保険法改正で廃止。新たに「保険外併用療養費制度」が始まり、「選択療養」と「評価療養」の2つに分けられた。差額ベッドなど患者の好みで選ぶものなので「選択療養」に、がん治療などの「高度先進医療」は「先進医療」と名を変え、将来保険適用を見込まれる診療である「評価療養」という扱いになった。

医療技術が保険適用されるまでの流れ
自由診療、先進医療を経て保険適用になるのが大まかな流れ。中医協第163回総会の資料を基に作成

先進医療となるまで


 先進医療に認められるには、まず臨床研究によって研究データが蓄積される必要がある。その後、医療機関から厚生労働省の先進医療専門家会議に提案されて、有効性や安全性の判断がつき次第、先進医療として認められる。


 先進医療では、特定の病気に対して「先進医療」と認められる。陽子線治療の場合はがんで、それ以外の陽性腫瘍などに先進医療は適用されない。また、患者の様態に加えて医療機関側にも一定の条件を満たさなければならない。


 陽子線治療では、放射線科の経験が10年以上で、陽子線治療経験が2年以上、10例の治療経験があり、このうち5例が主担当だった医師が必要だ。施設についても「常勤医師が2名以上」「10例以上の陽子線治療を実施している」「倫理委員会が設置されている」など、細かく規定されている。


 先進医療が保険適用されるには、先進医療として十分なデータや実績を積み、再び専門家会議で検討された後に、中央社会保険医療協議会(中医協)へ回される。中医協で保険適用や点数設定などの議論をクリアすると、晴れて保険診療となる。


 国の医療費、患者の負担などを踏まえて議論は続いているが、先進医療は今のところ現実的な制度として運用されている。

(中西 啓)

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