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2012/12/10

免疫

概要

 免疫とは、多くの生物が持ち合わせている自らの体を守るための防御機構のこと。大きく体を守る防御機能には体内に侵入させないための物理的・化学的な障壁と、体内に侵入した寄生虫や細菌、ウイルスなどの異物を除去する体内の機構の2種類があるが、このうち体内で作用する方を指す。生物に侵入した異物は侵入先に害を及ぼしながら適合しようとするため、排除するための免疫機構はより複雑な進化をしてきたが、基本的な免疫機能ならば虫や細菌レベルでも持ち合わせている。


免疫細胞の仕組みと働き


 口腔など皮膚がなく外部に露出している器官は人体には多くある。あるいは皮膚に傷などが生じている場合も侵入経路となる。そのような経路から寄生虫や細菌、ウイルスなどが侵入した場合、ウイルスなどが持っている特定の蛋白質(=抗原)に、免疫の機能を持つ細胞(=免疫細胞)が生成する「抗体」が反応し、体内から排出するなどにより体を守るようになっている。

身体が備えている防御機構
体を守る機構は多く存在する

 体内には数兆個の免疫細胞が存在する。しかし1種類の免疫細胞は1種類の抗体しか作り出せず、当然細菌やウイルスの種類ごとに抗原が異なるため、細菌やウイルスの種類ごとに対応する免疫細胞が体内には多くの種類が存在する。また免疫には大きく2種類が存在し「生来持っている免疫」と「病原菌への感染を通じて後天的に獲得する免疫」に分かれる。一般的に行われるワクチン注射とは、極めて毒性を弱くし、あるいは完全に不活性化した病原菌に感染させることで、後天的に免疫を獲得させ、脅威に対して抵抗力を持つようにする。


 つまりワクチンとは、直接的に病気に効果がある薬ではない。体が持っている自己治癒の能力を高める手助けをする薬とも言える。


 がん細胞も、免疫細胞による攻撃で、あるいは撃退できる可能性があるとして、研究が進められていた。ただし、がん細胞はもともと本人の体から作られているため免疫細胞が外敵と認識しづらい、異常増殖をするため通常の免疫細胞の数では追いつかないなどの問題点があり、がん治療への応用はなかなか実現しなかった。詳しくは特集記事に譲るが、現在では「がんを外敵と認識させるようにする」あるいは「免疫細胞の数を増やす」方法が打開策になるのではないか、と期待されている。


免疫作用の現れ


 「炎症」は免疫のもっとも一般的な反応であり、病原がある箇所に免疫細胞が含まれている血液の流入量が増えることで起きる。通常の量では害にならないようなスギ花粉を抗原として認識した免疫細胞ができ過剰な反応を起こす「アレルギー疾患」も免疫の働きによるもの。スズメバチに2度以上刺された際などに起こり、呼吸困難や最悪の場合には死にいたる場合もあるアレルギー反応「アナフィラキシーショック」も1度目で免疫が出来たハチ毒に対して、強烈に反応を起こした結果生じるものだ。


 その反対に免疫の働きが鈍るの「免疫不全」も、致命的な結果を及ぼす場合が多い。通常では、かからないような病気に発症するようになる。糖尿病やHIVなどが免疫力低下のリスクを持っている。

(井上宇紀)

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