特集などに出てきた重要語句を分かりやすく解説
BCM
概要
BCM(Business Continuity Management)は事業継続マネジメントと呼ばれ、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)の策定から、BCPの運用、検証などの管理をさす。
BCPとBCMは混同してしまいがちだが、BCPはBCMの一環といえる。BCPは、災害やテロなどのインシデント(事件・事故)が発生した時に、企業や自治体などで、組織の優先すべき業務をどのように通常時へ戻すか、という行動計画だ。BCMはBCPの策定に限らず、BCPが実際に機能するかを確かめるための訓練や分析、社員への啓発なども含めた事業継続(Business Continuity)の一連の流れである。
図、BCMのPDCAサイクル |
BCMの広がり
2007年に発生した新潟県中越沖地震。この災害では変速機のシールリング国内シェア7割を誇る自動車部品メーカー・リケンの柏崎工場が被災して操業が停止。これを受けてトヨタなど国内自動車メーカー12社全てが「完成車の一時生産休止」という事態に陥った。
企業の業務を継続していく上で、取引先などとの連携は必ず出てくる。BCMも社内のみで完結することはない。国では内閣府・中小企業庁・経産省、業界団体では日本経団連など、それぞれガイドラインを発行している。
また、BCMは国際標準化の動きもある。2012年、BCMを運用するためのBCMS(事業継続マネジメントシステム)が国際標準規格「ISO22301」として発行される予定だ。
ISO22301はマネジメントシステムとして発行される。すでに存在している環境マネジメントのISO14001、情報セキュリティのISO/IEC27001などもあるが、これらの規格とのリンクは保って作成されているという。
BCMの今後
ISO22301は、ISO14001などのように、第三者認証用として発行される。いわば「BCMを自分たちはきちんと策定している」という「お墨付き」になる規格だ。 認証取得を目指せば、業務の洗い出しの過程で出てくる企業の無駄も見つかり、見直しをすることにつながる。また、中小企業が認証を取得すれば、取引先などから先進性を評価されるなどのメリットもある。BCMSの国際標準化が、形式的なものではなく企業の基礎体力を上げるきっかけになることを期待したい。
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